【レシピ付き】海老芋豆腐 きんつば仕立て——『法善寺 浅草』辻 宏弥さん作
「甘みが強く、身質がきめ細かい。炊くとなめらかな舌触りになって感動しました!」。『法善寺 浅草』の辻 宏弥(ひろや)さんが大絶賛したのは、富田林(とんだばやし)市西板持(にしいたもち)地区にある『乾(いぬい)農園』の海老芋。立派な姿を生かし、丸のままシンプルに煮物にするのが一番美味しいと言いながらも、新たな試みとして焼き物にアレンジ。煮物の切れ端を有効活用して海老芋豆腐を仕立てました。溶き卵をからめて焼き、きんつば風に。始末の心から生まれたレシピが会員に大好評でした。
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辻 宏弥さん(大阪・法善寺横丁|『法善寺 浅草』店主)
1978年、大阪生まれ。同志社大学法学部を卒業後、銀行員を経て、『神戸たん熊』で日本料理の世界へ。2011年、昭和12年創業の『法善寺 浅草』に入り、17年、四代目店主となる。持ち前の勤勉さで、スッポン・フグ・鱧料理を得意とする割烹の料理を進化させ続けている。
色白に煮た海老芋の切れ端で豆腐を作り、きんつば風に焼き上げました
海老芋は丸のまま柔らかく、色白に炊くのが一番美味しいと思います。『乾農園』の海老芋は、大きく立派ですが、身質がきめ細かくて柔らかいですし、アクもほとんど感じません。いつもは糠を加えた水で下茹でしますが、水だけでも十分でした。
海老芋自体の甘みが強いので、煮物にすると煮汁がとても甘くなるんです。それで、砂糖を加えず、味付けは淡口醤油と少しのみりんで。ほくっとした心地よい食感に煮上がりました。繊維が細やかなので、舌触りもなめらかです。この乾さんの海老芋にしかない美味しさをぜひ味わっていただきたいと、今回はシンプルな煮物もご用意しました。
煮物にすると、先っぽは少し煮崩れてしまいますよね。提供する際に、食べやすいよう形を整えると、切れ端も出る。これを何か有効活用できないか?と考えたのが、海老芋豆腐です。
柔らかく炊いているので、先っぽや切れ端はすりこぎで簡単に潰れます。少し芋らしい食感も残したかったので、粗めに裏漉ししています。煮汁と葛と合わせて煉ったところに加え、冷やし固めました。海老芋の煮物と炊合せに、とも思ったのですが、ちょっと趣向を変えて焼き物として仕立てました。
白く煮上げた煮物との色のコントラストを楽しんでもらおうと、海老芋豆腐には溶き卵をまとわせて、きんつばのように焼いています。「龍のたまご」を使うと、黄身がオレンジ色なので、より色の違いが引き立ちます。煮物の方はサラマンダーで焼き色を付けて仕上げました。
『乾農園』代表の乾 裕佳さんがこの日持参した海老芋は400gの大きさ。細やかな身質や粘り気、甘みの強さなどが秀逸。
➡『乾農園』の海老芋のルポはコチラ。
「シンプルに煮た乾さんの海老芋の美味しさも味わってほしい」と辻さん(左)は、柚子味噌をかけた一品も用意(右)。「なめらかで、海老芋独特の風味が感じられて旨い!」と畑 耕一郎会長が絶賛したのは海老芋豆腐。「あんこをのせて菓子としてお出しするのもいいのでは?」という意見も出て、多くの会員が関心を寄せていた。
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