【レシピ付き】新しい松茸料理 Vol.1 大阪『お料理 山田』
秋を代表する高級食材、松茸。和食の世界では、土瓶蒸しに松茸ご飯…など、馥郁(ふくいく)とした豊かな香りを生かして調理することが第一とされてきました。ところが近年、国産の収穫量がぐっと減り、輸入ものが多く出回るようになる中で、昔ながらの調理法にとらわれず、新たなアプローチで松茸の個性を引き出す料理人が増えているようです。そこで、今回は大阪、京都の3軒に、新しい松茸料理を考案いただきました。まずは、王道の“鱧松”を飯蒸しに仕立てた、大阪『お料理 山田』の逸品から。
大阪・北新地『お料理 山田』山田晃弘さん作
鱧松の飯蒸し
野菜を巧みに取り入れたコースが人気の『お料理 山田』。
例えば、脂を湛(たた)えたノドグロの焼き物には天王寺蕪と大阪金時ニンジンの和え物と高山真菜のすり流しを添えて爽やかな後口に。白甘鯛の造りは、ハーブの昆布〆を巻いて旨みと風味をアップ。仕事を施した野菜が、一皿の味わいを格段に高める。
松茸の一品も、野菜と同じように相乗効果を狙って仕立てると店主・山田晃弘さんは言う。「正直、松茸は国産ものを炭火で焼くか、天ぷらにするなどシンプルな仕立てが一番美味いと思っています。でも、ウチは北新地にありながらもコースの価格は年間通して税込みで17600円(約全10品)と決めています。最上のものだけを使い続けるのは価格的に難しいですし、食べ慣れた人が多い土地柄なので一手間かけたものの方が喜んでいただけるだろうと思いまして、王道の“鱧松”という組合せにちょっと工夫を加えてみました」。
油分で風味を高める、松茸のすり流し
料理は、鱧の飯蒸しと天ぷらの上から、松茸のすり流しをかけるというもの。
「すり流しといっても、松茸が持つ水分とだし、そして油を合わせ、乳化させたソースのイメージです。松茸の風味を油が膨らませ、液状化させることで舌にダイレクトに感じていただけます」と山田さん。
油は、松茸の繊細な香りを邪魔しない太白ゴマ油を使用。フライパンで熱し、薄くスライスした松茸が汗をかき始めるまで炒め、その香りが飛ばないように急冷。濃度のあるすり流しに仕上げるため、だしは少量のみ加えて松茸と共にミキサーにかける。
「このすり流し、魚介と相性がいいんです。ウチではメバル科のメヌケという魚の天ぷらや、白甘鯛やノドグロなど、脂ののった魚の炭火焼きに添えてます。スッポンの茶碗蒸しのソースとしてもイケますよ」。
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