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【レシピ付き】睦月の蒸しもの Vol.2 東京『分とく山』

東京・南麻布にある『分とく山』は、四季折々の旬の食材を駆使した伝統的かつオリジナリティに富んだ日本料理で知られる有名店。なかでも看板料理として名高いのが、肉厚のアワビに肝ソースをたっぷりからめて食べる「鮑の磯焼き」です。総料理長の野﨑洋光(ひろみつ)さんが三陸の活アワビに出合ったことがきっかけで生まれたこの料理を、新たに“かぶら蒸し”として再構築した一品。大根を使ったアワビの下蒸しの効果は必見です。

文:瀬川 慧 / 撮影:海老原俊之

東京・南麻布『分とく山』野﨑洋光さん作 
鮑さざれ蒸し

今回、野﨑さんが考えてくれたのは、見た目にも楽しい「鮑さざれ蒸し」。最初に柔らかな蒸しアワビを作って、かぶら蒸しの具として混ぜ込み、再度、殻に詰めて蒸し上げた、アワビの旨みが際立つ料理だ。
どちらも70~80℃の低温で蒸すことで、アワビや聖護院かぶの持ち味が生きたふんわり優しい味わいになる。凝縮された旨みに添うのは、やっぱりアワビの肝。程よく昆布だしで緩めてとろみをつけた肝あんが、滋味ある美味しさを一層引き立てる。

アワビは大根おろしをのせて蒸す

「大根おろしをのせて蒸すのは身を柔らかくするためではありません。低温調理になるからです。もともと大根の消化酵素はタンパク質ではなく、デンプンを分解する酵素。50℃以上の高温になると消滅してしまいます」と野﨑さん。
アワビに大根おろしをのせて蓋をし、70~80℃の蒸し器で蒸すことで身が締まらず、アク抜きもできるという。“大根おろし+低温で蒸す”料理法によって、アワビの水分を保ったまましっとりと仕上げることができるのだ。

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