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【レシピ付き】雛祭りの一品Vol.2 東京『七草』

東京・駒場東大前にひっそりとたたずむ和食店『七草』。築50年以上の骨董店をリノベーションした空間で、店主の前沢リカさんが丁寧に仕立てる料理は、旬の野菜と乾物、豆が主役です。季節のすり流しに始まる献立を貫く、その美しく澄んだ味わいは一度食べれば忘れがたく、長年通うお客が多いのも頷けます。今回の「ちらし寿し」に入るのは、塩〆にした真鯛や帆立貝柱に加えて、カリフラワー、文旦、ディルなど意外な素材ばかり。重箱一面に敷き詰められた彩りの美しさ、清らかな味で雛祭りの慶びを祝います。

文:瀬川 慧 / 撮影:公文美和

東京・富ヶ谷『七草』前沢リカさん作 
上巳(じょうし)の節句のちらし寿し

「春の黄色を表現するとき、和食ではだいたい卵を使うことが多いです。かといって、菜の花では少し重たくて主張が強すぎますし、黄色のパプリカでは洋のイメージとなり、和食のしっとりとした彩りとは違うように思います。そんなときに、柑橘の優しく澄んだクリーム色は、まだ冬の余韻もあり、自然できれいだなと思いました」と前沢さん。

薄桃色の真鯛と合わさった文旦は、いかにもはんなりとした和食らしい色合い。まだ少し寒さが残る桃の節句にふさわしい、淡い春の彩りだ。

カリフラワーは粗みじん切りにして、寿司飯に加える

柔らかすぎず、硬すぎず、ごく普通の硬さに茹でたカリフラワーを細かく刻んで寿司飯に加えることで、ライスサラダのような軽やかな食感が生まれる。「細かく刻むことで、ときどき思い出したようにふわっとカリフラワーの味や甘さが感じられます」。仕上げにのせたディルや木ノ芽、柚子も、単に色味やアクセントだけではなく、後口をすっきり爽やかに、軽やかな印象にまとめ上げる役割を果たしている。

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