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【レシピ付き】京都・祇園『菱岩』、春の折詰の極意

天保元年(1830年)創業の仕出し屋『菱岩(ひしいわ)』。祇園のお茶屋さんをはじめ、地元の人たちが贔屓にするお弁当は、味わい、構成、詰め方、その一つ一つに高い美意識と気配りが伺えます。時間を経ても、なお味よし、姿よし。そのコツや調理の工夫、味のポイントを、五代目・川村岩松さんに伺い、レシピも公開していただきました。

文:西村晶子 / 撮影:ハリー中西

「出来たての味」とは違う美味しさを大切に

『菱岩』は、お客様のお好みを何より大事に、時代に合わせて味や姿を少しずつ変えながら京料理の伝統の味を提供してきました。お弁当は折詰弁当の他に、塗器の半月弁当、松花堂弁当があり、いずれも年中対応しております。折詰弁当というと一般的には駅弁のイメージが強いですが、行楽や観劇、旅のお供、手土産など用途はいろいろで、春は花見弁当としてお求めになる方が多いです。

料理は創業以来、培ってきた京料理を基本に、「冷めても美味しく」、「色彩華やかに」を重んじながら、京都らしいもんをお作りしてます。そのために気を配ることは色々あって、料理屋さんの「出来たての味」とは違う美味しさを大事にしています。

うちの折箱は見ての通り、通常のものより深くて、縦長に使っています。三代目の松之助が、蓋で料理が押されるのを嫌がり、ふっくら入る深い折を考案したのが始まりで、縦長にしたのは私になってから。この方が片手で持ちやすく、食べやすいかなと思ったためです。斜めの仕切りは料亭『𠮷兆』の創業者、湯木貞一さんにアドバイスをいただいてつけたもので、以来ずっとこの折箱が定番です。

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