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【レシピ付き】そうめんのアレンジ料理 Vol.2 大阪『お料理 山田』の鱧と夏野菜の素麺 蜆出汁の梅干し擦り流し

2024年2月、北新地から西天満に移転した『お料理 山田』。店主の山田晃弘さん曰く「高級食材一辺倒ではなく、いかに手仕事を盛り込むかを大切にしています」。夏のコースのなかで登場するそうめん料理にも、その工夫が見て取れます。鱧とキュウリ、梅肉という定番食材の組合せながら、潜むのは意外性のある味づくり。コシのある極細そうめんに、擦り流しのまろやかな旨みと酸味がとろりと絡む、清々しい一品です。

文:船井香緒里 / 撮影:東谷幸一

目次


大阪『お料理 山田』山田晃弘さん作
鱧と夏野菜の素麺 蜆出汁の梅干し擦り流し

大阪の『和洋遊膳 中村』や、日本料理『弧柳』などで会得した技をもち、枠にとらわれない発想を料理に落とし込む山田さん。11品からなるコースのなかで大切にしているのは「食べ疲れない、味づくりです」と話す。

今回、紹介いただくそうめん料理の発想には「鱧とキュウリの甘酢」があるという。酸味を生かした清々しい仕立てではあるが「米酢は使いません。極細そうめんの繊細な味わいを生かしたいので」と山田さん。そこで活用するのが、煎り酒を作る際に残る、梅干しの果肉。食材を余すところなく使いながら、クエン酸のまろやかな酸味を生かす試みだ。

シジミは冷凍してうま味を底上げし、だしをとる

梅干しの擦り流しのベースになるのは、シジミからひくだし。シジミがもつうま味や塩味をコントロールし、調味に生かす。「砂抜きをしたシジミは必ず冷凍します。明らかにいいだしが取れますから」と山田さん。冷凍保存することで、うま味成分であるグルタミン酸やコハク酸がより多く抽出され、深い味わいのだしに繋がる。

冷凍庫から出したシジミはそのまま使う。同量の⼀番だしと共に加熱した後、煎り酒の仕込みで残った梅⾁を裏漉しして合わせる。このタイミングで⽤いるのが塩分濃度計。⽈く「同じ分量のシジミでだしをひいても、塩分濃度が0.4%の時もあれば0.7%の時もあります。そこに梅⼲しを⼊れると、⼩さな差ですが塩味が変わってしまうのです」。
⽬安は、そうめんと⼀緒に味わった時に⼀体感を感じられる1.3%。塩分が⾜りない場合は、塩で微調整。重湯を加えて、ややとろみをつける。
「煎り酒を仕込まない場合は、市販の梅⼲しでも⼤丈夫です。その際は、塩抜きをするなど好みの塩加減に調整してください」。

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