【レシピ付き】肉料理の逸品 Vol.2 東京『東白庵かりべ』
東京・世田谷の住宅地にある蕎麦屋『東白庵(とうはくあん)かりべ』は、さまざまな料理と手打ち蕎麦が楽しめる人気店です。名店『竹やぶ』出身の主人・苅部政一さんが無類のお酒好きということもあって、品数が増えたという一品料理。なかでも目を引くのが、塗椀で供される「牛タンの椀仕立て」です。箸でスッと切れるも、ほど良い食感を残す牛タンの火入れ、後口すっきりキレがある蕎麦屋ならではのあんの仕立ては必見です。
東京・千歳烏山『東白庵かりべ』苅部政一さん作
牛タンの椀仕立て
国産和牛の牛タンで作る椀仕立ては、夏から年内にかけてのメニュー。年明けからは合焼きや燻製など、鴨肉が中心になるという。
「蕎麦屋の定番といえば鴨肉ですが、他に何か肉料理ができないかなと考えた時に、大好きな牛タンが浮かびました。試してみたところ、難しいと言われる皮の下処理もうまくいって、初回から意外と美味しくできたんです。これが自分のイメージとかけ離れた仕上がりだったら、今頃メニューには載っていませんね」と苅部さん。
あえて椀仕立てで供するのも、牛タンを炊いた煮汁が思いのほか美味しかったから。蕎麦つゆと合わせてゆるめのあんかけにし、牛タンとの一体感を演出している。
「牛タンは、香味野菜と一緒にごくごくシンプルな味付けでゆっくり煮込んでいます。お酒に合うのはもちろんですが、後に続く蕎麦の味をジャマしないよう、キレある味わいに。3日寝かせた、薄口醤油・濃口醤油・ザラメ・みりんで作る‟かえし”と、だしを1:10で合わせて一度火にかけた蕎麦つゆは万能調味料。この一品の調味にも活用します」。
ほどよい食感を残し、箸で切れる柔らかさに
牛タンは丸ごと1本使って仕込む。先端はコリコリした食感、根元はジューシーと、さまざまな味わいがあった方が、食べて楽しいからだ。
「牛タン料理で一番面倒なのは表面の皮をむくこと。5時間炊いた後なら、ポロポロと簡単に手でむくことができます」。
当初、牛タンと共に炊く香味野菜は和を意識して長ネギとショウガだけにしてみたが、どこか獣臭さを感じたため、玉ネギとニンニクを加えたという。最も大切なのは火加減で、種火程度でゆっくり気長にじんわり火を入れるのがコツ。
「火が強いと牛タンの繊維がほどけすぎて、ところどころ煮崩れてしまいます。ほどほどの食感を残すためには、種火でじんわり火を入れるのが基本です」。
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