大阪『柏屋』流、重陽のもてなし Vol.2 料理編
旧暦9月9日の重陽の節句にちなみ、2022年は9/24~10/22の間、「菊尽くし」コースを提供する大阪の料亭『柏屋』。Vol.1では、器と設えについて亭主・松尾英明さんにご解説いただきました。Vol.2は、料理について。時代が移ろうごとに変わる、日本人における菊の存在感を見事に表現されています。料理の仕立てについても、詳しく教えていただきました。
「菊尽くし」コースの表現法
「本来、日本料理のコースでは、同じモチーフの器や、同じ食材を何度も使うのは野暮だとされていますが、『菊尽くし』のコースだけは別。高貴な花である菊の歴史を辿る、いわば“味の時間旅行”をお楽しみいただく趣向です」。
(器・設えについては、Vol.1参照)
菊酒と先付、煮物椀で表現するのは、不老長寿の妙薬として伝わった奈良時代。菊の高貴さに魅了された王朝貴族が歌を添えて競い合った、平安時代の「菊くらべ」は造りで。八寸は、菊を愛でる文化が町衆にも広がった、江戸時代に盛んになった菊花壇に見立てる。
「菊は時代ごとで捉えられ方が変わる興味深い存在です。コースの最後は、そんな菊に『柏屋』が寄せる思いを込めた、令和の表現で締めくくります」。
料理の内容について、松尾さんは数週間前から構想を始める。
「あらゆる情報を頭に入れて趣向を考えるのですが、多くはふとした瞬間に降りてきます。その上で言えることは、桜や梅は表現が尽くされているというか、菊に比べると余地が少ない。一方、菊は文献や行事などに残るトピックが豊富です。多くの発想を与えてくれるありがたい存在です」。
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