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【レシピ付き】和食のデザート Vol.3 東京『くろぎ』

2022.10.21
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東京・芝大門近くに黒塀の数寄屋を構える、日本料理『くろぎ』。選りすぐりの季節の食材を駆使したコースの締めとなるデザートには、一年を通してさまざまなかき氷が供されることで知られています。この時季は、旬を迎えた和栗が主役。モンブランケーキを思わせる、ねっとりと甘い和栗クリームと、甘さ控えめに炊いた小豆や練乳で仕立て、口中で渾然一体となることで美味しさが倍増する淡雪のご馳走。一年を通して必ず忍ばせるという、“ある調味料”の効果も注目です。

文:瀬川 慧 / 撮影:公文美和

東京・大門『くろぎ』黒木 純さん作
和栗のかき氷

『くろぎ』では移ろう季節によって、紫芋、マンゴー、イチゴ、イチジク、カボチャ、枝豆、スダチ、黒蜜きなこやプリンを添えたものなど、多彩なかき氷でコースを締めくくる。お正月には、酒粕を用いたものも登場するという。

「修業先の『京味』では冬でも葛切りを出していました。それをヒントに、季節の食材を組み合わせたかき氷を、冬にお出ししてもいいのかなと考えました」と店主・黒木 純さん。

その昔、氷室から運ばれ、京の宮中に涼をもたらしたかき氷は、清少納言が「枕草紙」で「あて(上品)なるもの」の一つに「けづりひ(削り氷)」を挙げたほど、古くから愛されてきた食べ物。江戸時代には殿様が富士山の氷を包んで室に運ばせ、砂糖水をかけて食べた贅沢品。「冷暖房もなかった時代、かき氷は夏場に涼をとる粋な日本の文化だったんです」。

一年を通して“かき氷”という軸を定めることで、むしろ創意工夫溢れるデザートとなり、お客にも喜ばれているという。使用するのは、静岡の富士山の麓近くの透明度の高い純氷。「かき氷はいわば白いご飯のようなベースとなる存在。ひと手間かけて合わせる季節のソースは自在です」。

秋は、甘みの強い完熟栗で作るたっぷりの和栗クリームと小豆、練乳を中に忍ばせ、さらに上からも和栗クリームと渋皮煮をのせて二層仕立てに。コースのデザートとは思えぬボリューム感だが、いつの間にか食べ終えてしまう軽やかさが自慢だ。

コクと和の香りをもたらす醤油を加える

「和食のデザートとしてお出ししますから、本来バターや生クリームは使いづらいもの。ところが、かき氷というフィルターを通すと不思議にそれがしっくりきます」。時には、チーズや白ワインをソースに使うこともあるという。洋素材を使いながらも、必ず入れるというのが醤油。「醤油を加えることで、ソースにコクと和の香りが生まれます。『くろぎ』のかき氷には和の香りがほんのりすると感じていただければ、他店との差別化にもなります」。牛乳ではなく豆乳を使うのは、さっぱりと軽やかな後口を意識してのことだ。

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