【レシピ付き】ハマグリ料理 Vol.1 京都『魚料理 あぎやお』
3月3日は五節句の一つである上巳(じょうし)の節句。和名では桃の節句と言い、現代では雛祭りとしてかたちを残しています。この時季、旬を迎える貝類の中でも二枚貝の殻は同じ貝でなければピタリと重ならないことから夫婦和合の象徴、縁起物とされています。今回のテーマ・ハマグリも、雛祭りの料理によく使われています。
京都『魚料理 あぎやお』料理長を務める松本智樹さん考案の和え物は、プロならではのひと手間でハマグリ独特の旨みを重ねる仕立て。ハマグリの“ワタ”を使った特製味噌をのせ、ハマグリの潮だしを生かした和風ドレッシングを流し入れます。
汎用性の高い“ワタ味噌”だけでも、覚えておくと便利です。
文:川島美保 /撮影:竹中稔彦
京都・烏丸五条『魚料理 あぎやお』松本智樹さん作
ハマグリと菜の花のワタ味噌和え
「ハマグリが持つ旨みと個性を、余すことなく生かすのが目的です」と松本さん。食感の邪魔になるエラと呼ばれる硬い部分や味が濁るからと外すワタは、料理店では捨てることが多い。けれど、裏を返せばエラは食感の、ワタは味わいのアクセントになり得る部位。それらを使えば面白い一品ができると考えたのがきっかけだ。
ハマグリのワタを味噌と叩き合わせる
ワタは玉味噌と合わせる。白味噌をベースにしたまろやかな甘みが、独特の臭みを抑えると同時に旨みをグッと深くしてくれる。このとき、庖丁で叩きながら混ぜ合わせるのは、滑らかさを出しつつもエラのクニっとした食感を適度に残すためだ。
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