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奈良『お料理 ひろ岡』廣岡信行さんに聞く【5問5答】

2025年3月、奈良県五條市から奈良市に移転リニューアルを果たした『お料理 ひろ岡』の廣岡信行さん。食材以外にも、調味料一つ一つ、ドリンクなど細部のこだわりが伝わる5問5答です。

文:阪口 香 / 撮影:高見尊裕

目次


重宝している調味料は何ですか?

かなり吟味して選んでいます。

4月に提供したハマグリの天ぷらに添えた「大和橘こしょう」は、大和橘の皮に青唐辛子、塩麹、塩を合わせた薬味。「なら橘プロジェクト推進協議会」が商品化したもので、やわらかい柑橘の風味、キレイな苦みが魅力的です。
天ぷらの他、焼き魚に添えることも多いですね。先月は炭焼きしたクエに添えました。ポン酢に溶いてもいいです。橘胡椒ポン酢。アイナメやアマダイなど脂ののった魚や、ちょっと寝かせた白身の造りと相性抜群です。

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塩は、“幻の塩”と言われている高知県・田野屋塩二郎氏に特注したもの。水と塩は人間にとって一番大切なものなので、こだわりました。
こちらからの依頼は、甘み控えめで苦味をプラスし、大きさは直径1㎜。“噛める”塩ですね。でも、噛んでも辛くないし、後に残らない。お客さまにも「こんな塩、食べたことない!」って言われます。お造りや天ぷら、魚の塩焼き、肉料理に使っています。

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大阪の寺田町にある『鴻(おおとり)商店』の砂糖(左)もスゴイんです! 砂糖の種類がたくさんあって、真っ白なザラメとか、角煮用の砂糖とか。見たことのないものが揃っています。いろいろ味見させていただいたのですが、どれも舌や喉に残らない“キレ”がある。衝撃でした。
僕が使っているのは「特上白」。サラッサラで、写真の葛粉と見た目がほぼ一緒でしょう(笑)。三段結晶仕込みという製糖方法で、粉末状に仕上げているとのこと。ウチではプリンや生クリーム、葛餅に使っています。葛餅は当初、和三盆で作っていたのですが、どうしても少し色が付いてしまうのが気になって…。こちらに変えてからは色が付かないですね。特に4月に提供する桜餅は、桜色がキレイに出るので重宝してます。

『黒川本家』の「吉野本葛」は、葛餅のほか、料理でとろみを付ける際などに使っています。水溶きにしてしばらく置いておくと、普通は沈殿するじゃないですか。それをまた溶き混ぜて使っていたのですが、この葛だと一日経っても混ざり合ったままなので、すぐに使えるんです。
また、豆腐を作る時には粉のまま入れて混ぜてもダマにならないし、仕上がりもなめらか。揚げ物の衣にしてもカリッと揚がる。「こんなに違うものか」と驚きましたね。

醤油は奈良・御所(ごせ)の『片上醤油』。薄口・濃口・再仕込み醤油などを、料理の決め手となる部分で使っています(写真は「淡色 天然醸造醤油」)。
蔵を見学させていただいたのですが、木桶を使ったクラシックな造り。舐めるとクリアで身体にスーッと入り、豆本来の味がして深みがある。片上さんが真摯に醤油と向き合われている証だと思います。

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