【レシピ付き】魚の味噌幽庵焼き Vol.1 大阪『割鮮 入たに』の「明石のサワラ 味噌漬け」
味噌・醤油・酒・みりんを合わせた調味液(地)に、食材を漬けてから焼く味噌幽庵焼き。今回は、大阪と東京の2軒にレシピをご披露いただきます。
まずは大阪・北新地にある『割鮮 入たに』。2023年8月にアラカルト主体からコース一本のスタイルに変更、勢い増す一軒です。店主・入谷元基(げんき)さんは「焼物は割鮮(向付)や椀物に並び、店の格が分かる重要な存在」と話し、脂のノリがいい魚が入った時は必ず、味噌幽庵焼きで提供するといいます。王道な作り方の中に、こだわりが光ります。
大阪『割鮮 入たに』入谷元基さん作
明石のサワラ 味噌漬け
「魚の味噌幽庵焼きは、僕が料理人を目指すきっかけになった料理です」と入谷さん。
記憶は、調理師専門学校へ通っていた頃に遡る。「当時、大阪の和食店で味わったマナガツオの味噌幽庵焼きに感動したんです。素朴だけれど、しみじみとしたその美味しさに、日本料理っていいなと」。
今回は、脂のりがいいサワラを味噌幽庵地に30分だけ漬けて焼き上げる。「師匠の教えの一つが“魚の状態を見極め、冷静に考えて調理する”です」。師匠とは、『なにわ料理 有(ゆう)』の主人・古池秀人さん。素材、調味料、漬け時間、焼き加減を吟味した一品に仕上がった。
脂のりが良いサワラの腹身を使う
まずは素材選び。
「塩分濃度がある味噌幽庵地に魚を漬けるということは、浸透圧の効果により、脱水作用が働きます。旨みは凝縮するものの、脂が少ない部位だと、焼き上がりがパサつくことも」。この日、用いるのは明石で揚がった3kgのサワラ。中でも腹身はピンクがかっていて、見るからに脂を蓄えている。
秋から冬にかけてはサワラや金目鯛、春から初秋にかけてはマナガツオを用いることが多い。「味噌幽庵焼きといえば、の魚種ですが、脂のりが抜群の素材が手に入った時に限り」、コースの焼物に組み込む。
腹身を味噌幽庵に用いるなら、背側はどうするのか。「サワラであれば、背の尻尾に近いところはどうしても脂が少ない。皮をひき、パン粉をつけてレアフライにして、自家製タルタルを添えて提供することもありますね」。部位の特性を見極め、余すところなく活用する。
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