【レシピ付き】牛肉料理Vol.2 東京『六雁』の黒毛和牛の煮込み
東京・銀座『六雁(むつかり)』。コース料理の最後に供される肉料理は、黒毛和牛の煮込み、ローストビーフ、牛カツ、豚肉の炭火焼などを独自のスタイルで。「肉料理はメインとしての位置づけではなく、食事前の一品としてお出ししています。僕の中でのメインは、あくまで野菜料理。肉にも必ず季節感のある野菜を添えてお出しするようにしています」。一見、ビーフシチューを思わせる「国産黒毛和牛の煮込み」に隠された、秋山さんの技をお教えいただきます。
東京・銀座『六雁』秋山能久さん作
黒毛和牛の煮込み
「料理は食材ありきなので、あまりこねくり回したくありません。そのために美味しい国産黒毛和牛のスネ肉を使い、箸で食べることができる柔らかな煮込み料理に仕立てます。箸でつまんだときに、肉がほろっと崩れる感じ。ナイフとフォークで食べるのとは違う食感を狙っています」と秋山さん。
その着地点を目指すために、牛肉は長時間ゆっくり蒸し上げて肉の繊維を壊し、それから落とし蓋をしてコトコト炊いて味を含ませている。煮込みに添えた、鮮やかな菊花の甘酢漬けは口直しとして。マッシュポテトは残ったソースにからめて食べるなど、付合せの妙にも気を配る。
牛スネ肉は5時間蒸す
牛スネ肉を芯まで柔らかくして、純粋なエキスを抽出するため、水や酒などは一切加えず、香味野菜の長ネギ、ショウガをのせて、5時間じっくり蒸し上げる。蒸し上がったら、一旦冷やして、表面の固まった脂の部分を取り除く。下から現れる黄金色に輝く牛エキスのジュレには、肉の旨みがぎっしり詰まっている。これを煮溶かして漉し、赤ワイン、カラメルと一緒に鍋に入れて、蒸し上がった肉をゆっくり煮込むのだ。
「塊肉は蒸し器に放り込んでおけば、芯まで柔らかくなります。料理はごちゃごちゃと手を加えればいいというものではないんです」と秋山さん。
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