【レシピ付き】カブ料理Vol.2 東京『てんぷら 近藤』の菊花カブの天ぷら 味噌塩
東京・銀座『てんぷら 近藤』のご主人・近藤文夫さんは、それまで魚介が中心であった江戸前の天ぷらに野菜を多く取り入れた、天ぷら界を牽引するレジェンドです。素材の持ち味を生かすべく、美しい薄衣で揚げる近藤さんの天ぷらは、池波正太郎氏など各界の著名人に愛され、若手の天ぷら職人にも大きな影響を与えてきました。そんな近藤さんも、カブの天ぷらに挑戦するのは初めてとのこと。カブの甘さを生かす菊花切りや味噌塩など、斬新なアイデアに注目です。
東京・銀座『てんぷら 近藤』近藤文夫さん作
菊花カブの天ぷら 味噌塩
これまで、細切りにんじんの寄せ揚げ、丸ごと食べるピーマン、代表作の厚さ10㎝のサツマイモなど、素材の風味を最大限引き出した、野菜の天ぷらを世に送り出してきた『てんぷら 近藤』の近藤文夫さん。
「これまでたくさんの野菜を揚げてきましたが、カブは初めて。『カブは天ぷらに向かない』という固定観念を捨てて、あえて挑戦してみました。そうしないと新しいものは生まれないし、先にも進みませんから」。
とはいえ、カブにあらかじめ味を含ませたり、潰したりして揚げるのはご法度。「生の素材の旨みを生かしてやるのが、天ぷらの技法。揚げることで美味しさを引き出すのが、天ぷらの最大の強み」だからだ。
試作の上、辿り着いたのがカブを菊花切りにして揚げること。ややゆるめの衣液を使った薄衣との相性も抜群。何より、1個のカブから生まれたとは思えない食感のグラデーションに驚かされる。
カブを菊花切りにし、食感にグラデーションを生む
カブは形が丸いゆえに、衣液が流れやすい。さらに、天種としては火が入りにくく、表面と中心では火の入り方が微妙に異なる。
それらを解決する方法が、細かく庖丁を入れる菊花切りにすること。深めに入れた切れ目の隅々にまで丁寧に粉をはたいてから衣液をくぐらせることで、まんべんなく薄衣をまとった美しいカブの天ぷらが完成する。
さらに、油の中でゆっくり火を入れたカブは、表面はパリッと、中はしっとりジューシーに。菊花の花びらの部分には食感のグラデーションが生まれ、焼き物や蒸し物の趣さえ感じられる。
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