大根のレシピ10選|煮物・蒸し物からプロのアレンジ料理まで
冬に甘みとみずみずしさを増す大根。だしを含ませて煮るだけでなく、蒸す、焼く、揚げるなど、調理法によってさまざまな表情を見せる野菜です。今回は、定番の風呂吹き大根やぶり大根をひと工夫したものから、粕汁仕立ての奉書巻き、花椒を利かせた煮物、グラタンまで、プロの発想が光る大根料理10品をご紹介。大根の甘みや食感を生かす火入れ、味の含ませ方、他の食材との組み合わせなど、日本料理の献立づくりに役立つ工夫を集めました。
※2025/01/03の記事を更新
大根の煮物・あんかけレシピ
大根料理の定番といえば煮物。じっくり味を含ませる方法もあれば、あえて中まで味を入れず、大根本来の甘みや風味を際立たせる方法もあります。だしや調味料の選び方、火入れの工夫によって、仕上がりが大きく変わる5品をご紹介します。
赤田楽味噌で味わう「丸大根風呂吹き」——大阪『さか本』
撮影/福本 旭
大阪・北新地『さか本』の元大将・坂本靖彦さんが長年作り続けてきた風呂吹き大根。丸大根を米のとぎ汁で下茹でし、箸がすっと入るほど柔らかく炊き、カツオ昆布だしに塩とみりん、少量の薄口醤油を加えた煮汁で味を含ませます。
大根の持ち味を生かすため、味付けはあくまで薄味に。合わせる赤田楽味噌には八丁味噌を約3割加え、コクと風味を深めます。大ぶりに切った丸大根に、とろりとした味噌をかける、潔い仕立て。大根の甘みを引き立てる煮方と、赤田楽味噌の作り方を動画で紹介しています。
▼丸大根風呂吹き|動画と材料・詳しい作り方を見る
粕汁を再構築した「聖護院大根の枡煮」——京都『京夕け 善哉』
撮影/竹中稔彦
京都『京夕け 善哉(きょうゆうけ よきかな)』の笹井喜晃さんが提案するのは、聖護院大根を枡形にくり抜き、金時人参やコンニャク、薄揚げを盛り込んだ一品。冬の京都で親しまれる粕汁を、遊び心ある煮物に仕立てています。
聖護院大根は下茹でせず、酒粕と白味噌を溶いた昆布だしで直煮に。あえて中まで味を含ませすぎず、大根本来の甘みと繊細な香りを生かします。一方、枡の中に詰める具材は、それぞれ別の塩梅で炊き、味にメリハリを。素材ごとに味の入れ方を変える、料理人ならではの工夫が光ります。
▼聖護院大根の枡煮|材料・詳しい作り方を見る
和だしと生クリームを合わせた「ハマグリ大根のクリームあんかけ」——大阪『味菜』
撮影/東谷幸一
大阪『味菜』が提案するのは、柔らかく煮た大根に、生クリーム入りのあんを合わせる一品。カツオ昆布だしとハマグリの潮だしを同割で合わせ、ベーコンの旨みを重ねることで、生クリームにも負けない味の土台を作ります。
滑らかな口当たりに仕上げるポイントは、先に葛粉でしっかりととろみを付けてから、生クリームを加えること。クリームのまろやかさをまといながらも、だしを含んだ大根のみずみずしさによって、後味はすっきり。洋の要素を取り入れつつ、日本料理らしい味わいに着地させる工夫が参考になります。
▼ハマグリ大根のクリームあんかけ|詳しい作り方を見る
花椒の香りと歯触りを楽しむ「大根花椒煮」——東京『たく庵』
撮影/大山裕平
東京・四谷三丁目『たく庵』の小原卓也さんが考案したのは、花椒(ホワジャオ)の爽やかな香りと痺れを利かせた大根の煮物。大根は甘みのある上半分を皮付きのまま使い、パリッとした歯触りを残します。
だしと調味料で花椒の香りを引き出したら、大根を加え、再沸騰したところで火を止めるのがポイント。煮すぎず、粗熱を取って一晩置くことで、食感を保ちながら味を馴染ませます。冷たいまま供する、漬物のような感覚の一品。箸休めや酒肴、付け合わせにも活用できるレシピです。
▼大根花椒煮|材料・詳しい作り方を見る
120℃の低温で揚げ、持ち味を生かす「大根揚げ煮」——京都『瓢亭』
撮影/ハリー中西
京都『瓢亭』15代目当主・髙橋義弘さんが提案するのは、大根を低温でじっくり揚げてから、だしで炊く「大根揚げ煮」。一般的な煮物のように中まで味を含ませず、大根本来の野趣やみずみずしさを生かす仕立てです。
厚さ約3㎝に切った大根は、120℃の油で7〜8分、色を付けずに揚げて水分を抜きます。その後、干し貝柱と昆布のだしに白醤油や淡口醤油などを加え、さらに7〜8分炊きます。揚げることで表面を滑らかに仕上げ、味は表面にまとわせる程度に。ハマグリの葛煮と九条ネギを合わせた、冬らしい炊合せです。
▼大根揚げ煮|材料・詳しい作り方を見る
大根の蒸し物・巻き物レシピ
大根を桂剥きにして具材を巻けば、煮物とは異なる食感や見た目を楽しませることができます。厚みや火入れを調整し、巻き込む食材との一体感を生み出した2品です。
煮穴子の旨みを含ませた「煮穴子と大根の砧巻き」——東京『割烹 有いち』
撮影/海老原俊之
東京・荻窪『割烹 有いち』の橘 光太郎さんが教えるのは、甘く柔らかな冬大根を生かした砧(きぬた)巻き。大根を約1㎜の厚さに桂剥きし、ロール状にして蒸した後、炊いた煮穴子を芯にして巻き込みます。
桂剥きは薄すぎない厚みにすることで、柔らかな煮穴子との一体感が生まれ、口の中でとろけるような食感に。仕上げに煮汁でひと煮立ちさせたら火を止め、5時間から一晩置いて旨みを含ませます。温製や冷製の小鉢、八寸、椀種など、幅広い使い方ができる一品です。
▼煮穴子と大根の砧巻き|詳しい作り方を見る
鴨の旨みを重ねた「大根の奉書巻き 粕汁仕立て」——大阪『阿波座 なが友』
撮影/東谷幸一
大阪『阿波座 なが友』の長友俊介さんは、大根を奉書紙に見立てて鴨ミンチを巻き、酒粕と田舎味噌を利かせた汁物に仕立てます。桂剥きの厚さは約1㎜。少し厚みを持たせることで、煮た時に破れにくく、口の中でとろりとほどける食感を目指します。
煮汁には、大根の皮や金時人参、堀川ゴボウなどの端材と鴨脂を使用。さらに大根の葉はゴマ油で炒め、七味唐辛子を利かせて添えます。素材を余さず使いながら、だしの旨みや食感にも変化を付ける、浪速割烹の“始末の心”が息づく一品です。
▼大根の奉書巻き 粕汁仕立て|材料・詳しい作り方を見る
大根のアレンジレシピ
大根は、すりおろして餅にしたり、焼いて香ばしさを加えたり、他の食材と組み合わせたりすることで、料理の幅が広がります。定番の味わいを再構築したものから、和洋の技を融合させたものまで、発想豊かな3品をご紹介します。
ブリと唐墨を合わせた「大根餅」——京都『瓢亭』
撮影/ハリー中西
京都『瓢亭』15代目当主・髙橋義弘さんが考案したのは、ブリ大根と唐墨大根を一皿に融合させたような「大根餅」。すりおろした大根に白玉粉を合わせて蒸し、炭火で皮目を香ばしく焼いたブリ、薄切りの唐墨と盛り合わせます。
大根の甘みを引き出すため、白玉粉は水気を絞った大根おろしの約1割に抑え、蒸し上げてから少量の塩を加えるのがポイント。あんにはアゴだしと一番だしを合わせ、3種類の醤油で複雑な味わいに仕上げます。もちもちとした大根餅が、ブリと唐墨の個性をつなぐ一品です。
▼大根餅|材料・詳しい作り方を見る
生・焼・煮・揚を一皿にした「大根グラタン」——大阪『和洋遊膳 中村』
撮影/東谷幸一
大阪『和洋遊膳 中村』の中村正明さんが提案するのは、青首大根の生・焼・煮・揚を一皿で楽しませるグラタン。玉ネギに見立てて飾り切りした大根は、八方地で煮含めてから焼き上げ、切り端は塩麹と昆布で漬物に。さらに、すりおろした大根と吉野葛で作る揚げ大根餅を添えます。
グラタンソースは、白味噌を使った田楽味噌に豆乳クリームと豆乳クリームバターを合わせ、大根葉の青寄せで彩りを添えたもの。和の調味料を軸に洋の技を取り入れ、大根のさまざまな食感と味わいを引き出す、遊び心あふれる一品です。
▼大根グラタン|詳しい作り方を見る
大根おろしの力を生かした「ぶり大根の分解と再構築」——大阪『じょう崎』
撮影/福本 旭
大阪・吹田『じょう崎』の城崎栄一さんは、定番のぶり大根を、ブリの照焼きと田辺大根の含め煮に分けて再構築。ブリは大根おろしの汁に浸け、たんぱく質分解酵素の働きを利用して、しっとりとした焼き上がりを目指します。
一方、大根は90℃で下茹でした後、焼いたブリの中骨と干した大根の皮、昆布から取っただしで薄味に煮含めます。仕上げには、大根と玉ネギ、豆乳、白味噌、練りゴマなどを合わせた豆乳あんを。ブリと大根を別々に調理することで、それぞれの持ち味を際立たせながら、一皿としてまとめる発想が見どころです。
▼ぶり大根の分解と再構築|材料・詳しい作り方を見る
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