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【レシピ付き】栗名月の一品 Vol.2 大阪『能勢 日本料理 新』の「能勢栗のお汁粉、燻製塩こうじのジェラート、栗の葉茶のゼリー」

大阪・能勢の里山に佇む『能勢 日本料理 新(あらた)』。店主の中井 建さんは、地域の四季ごとの恵みを生かし、地産地消と持続可能な食の在り方を追求する料理人です。「栗」に関しては、葉や枝も使って甘味に仕立てます。能勢の秋と、地域の自然の恵みを映した一皿です。

文:船井香緒里 / 撮影:東谷幸一

目次


大阪『能勢 日本料理 新』中井 建さん作
能勢栗のお汁粉、燻製塩こうじのジェラート、栗の葉茶のゼリー

京都の料亭などで修業をした後、ベルギー・ブリュッセルの『欧州連合日本政府代表部』で公邸料理長を務めた中井さん。食材の宝庫である能勢町に魅せられ、21年6月に移住。日本料理の基礎を守りながら、海外での経験も生かす、この土地でしか表現できない味づくりに心を尽くしている。

今回、紹介いただく栗の一品は甘味。曰く「栗の実だけでなく、葉や枝も使い、能勢ならではの恵みを映します」。栗は渋皮煮に、葉はお茶、枝で燻製させるなど、先人の知恵を現代の料理に落とし込む。

素材の滋味を映す、あっさり仕立ての渋皮煮

大阪の北端・能勢町は、栗の王様と呼ばれる「銀寄栗」発祥の地。地元では「能勢栗」の名で親しまれ、大粒で肌理(きめ)の細かな実が特徴だ。

栗は収穫後すぐには使わず、新聞紙に包んで0〜3℃の冷蔵庫で数週間寝かせておく。「低温で熟成させることで、栗のデンプンが糖化し、自然な甘みが引き出されます」。

この栗でまず渋皮煮を作り、お汁粉に仕立てる。栗の風味を引き立たせるため、「甘さ控えめを徹底します。栗がもつ素朴な味わいを生かしたいから、煮汁(シロップ)は薄味です」と話す。
アクを丁寧に抜いた栗を、三温糖のやわらかな甘みを生かしたシロップで煮て、一晩じっくりと味を含ませる。翌日、シロップに黒糖を加え、3度に分けて煮含めることで芯まで味が行き渡るという。仕上げに加える濃口醤油がほのかな香ばしさを添え、栗本来の素朴な甘みを際立たせる。「栗の渋皮煮は、もちろん市販のものでも大丈夫です。ただ海外のマロングラッセのような甘みが強い製品はお勧めしません」。

完成した栗の渋皮煮をフードプロセッサーで撹拌したら、シロップと水を加えて伸ばし、牛乳を加えてお汁粉に仕立てる。

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