【レシピ付き】レンコンが主役の料理Vol.3 兵庫『日本料理 淡流』の「餅蓮根」
小ぶりな器の蓋を開けると、現れるのは質実な趣のある餅蓮根。兵庫・姫路『日本料理 淡流』の中江悠文(ひさふみ)さんが考案した、秋の先付にぴったりな一品です。使用するのは、店のある地にちなんだ「姫路れんこん」。中江さんが最も美味と語る1〜2月のものに比べると甘みや粘りは控えめですが、それを補うためのひと工夫が、味に奥行きを与えています。
兵庫『日本料理 淡流』中江悠文さん作
餅蓮根
海外での経験を経て、東京『銀座 小十』で修業を積み、料理長も務めた『日本料理 淡流』の中江悠文さん。献立には茶の湯の精神を軸に、播磨灘で水揚げされる新鮮な魚介類や、肥沃な土壌に育まれた地元の農産物、さらには自身が所有するたつの市の山からとれる食材を取り入れ、一つ一つ丁寧に仕立てている。
「『姫路れんこん』も信頼する農家さんから分けてもらっています。色白で柔らかく、粘りと甘みがある。全体のバランスがいいんです。アクが少ないのも特徴かと思います。本当の旬は1〜2月ですが、その分を補う工夫を凝らし、先付に仕立てました」。
レンコンはシャキシャキ感と甘み、粘りが強い2節目を使用。すりおろしたレンコンに万願寺味噌を合わせて輪切りを重ね、蒸し上げたものを器に盛り、だしを張る。いただくと、レンコンの異なる食感が楽しく、その滋味とだしが体に染み入るよう。初秋の訪れを告げる、心あたたまるひと品だ。
発想の源は熊本の名物「からし蓮根」から
実は、『淡流』ではお馴染みのレンコン料理が他にある。「からし蓮根です。といっても熊本の郷土料理として馴染みあるあの辛さではなく、岡山の備前味噌をたっぷりと加えてマイルドにしたもの。油で揚げて食べやすい大きさに切り、献立の二品目で提供しています」。
備前味噌は中江さんがオープン当初から使っている、尖りのない、まろやかな甘さの味噌。レンコンとの相性の良さをヒントに、今回の一品が生まれた。すりおろしたレンコンと万願寺味噌を5:1の割合を目安に合わせ、主役のレンコンの甘さの中に、万願寺唐辛子の辛味を程よく利かせる。
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