佐々木 浩流、1月の献立の立て方【後編】
1月に提供する料理を考える、『衹園 楽味』の献立試食会後編。前編に引き続き、大将の佐々木 浩さんが「1月に食べたい料理やな」と評する料理が続々登場します。最後の総評では、弟子たちに今後取り組んでいって欲しい料理の方向性も示します。
『衹園 楽味』:料理は先付、造りの後、魚・肉・野菜のネタ箱が豪快に並べられ、どう調理するか、料理人とお客がやり取りをして料理を決めるスタイル。「おすすめ」の品書きから選ぶことも可能で、試食会では先付と「おすすめ」の料理を決めるため、料理人がそれぞれ試作した1~3品を披露。佐々木 浩さんとスタッフ数人が試食し、ブラッシュアップを図る。
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佐々木 浩さん(『衹園 さゝ木』店主)
1961年、奈良県生まれ。前衛的な味と軽妙な話術で場を盛り上げるカウンターの名手。98年、36歳で独立し、衹園町北側に『衹園 さゝ木』開店。2006年、現在の地に移転してからはいよいよカリスマ性を発揮。「弟子を育てる店造りを」と再度改装を施し、23年8月、リニューアルオープンを果たす。直営店の『衹園 楽味』は「大人の居酒屋」をコンセプトに掲げ、2013年に開店。アテをつまみながらお酒を楽しめる『食ばぁー 楽味』併設。
『衹園 楽味』の料理人。上左/髙橋貴明さん。2015年入店で、煮方を務める。上右/水口直規さん。2016年入店で、向板を担当。下左/焼き場の堀越優希さんは、2022年入店。下右/見習いの山下一我さんは、2024年入店。
試食したのは佐々木さんのほか、左/『衹園さゝ木』女将の佐々木太津子(以下:太津子)さん、中/取締役の佐々木結花(以下:結花)さん、右/ソムリエの佐々木恭輔(以下:恭輔)さん。
髙橋貴明さん作──甘鯛 カブラあん
- 髙橋:
- 前回、「カブラ蒸し」を提案した時におやっさんから教えていただいた仕立てで作ってみました。
カブの鬼おろしあんを皿にひき、ウロコを立たせた甘鯛を少し沈めるようにのせました。カラスミをかけてもいいのかな、と思っています。
カブを鬼おろしにし、カツオ昆布だしを加え、薄口醤油・塩水で調味。鍋で温め、片栗粉でとろみを付けたあんに、油でウロコを立たせ、炭火焼きにした甘鯛をのせた。菜の花のお浸しを添えて。
- 佐々木:
- これ、もっととろみを付けた方がええわ。それでも食べてるうちにゆるくなるから。
あとこれ、だしは何を使ってる?
- 髙橋:
- カツオと昆布をベースにしています。
- 佐々木:
- 甘鯛のだしの方がええな。頭とか中骨からとって。ほんなら、カラスミじゃなくてあられ柚子が合う一品になるわ。
山下一我さん作──ローストビーフのアボカドとなます巻き
- 山下:
- ローストビーフを作りました。手前には、左からアボカドのディップ、紅白なます、生コショウ。お肉で巻いてお召し上がりください。
肉に塩をして表面を焼き、140℃のオーブンで30分焼いて予熱で火を入れる。ソースは酒・みりんを煮詰めて、ザラメ・上白糖・濃口醤油を加え、水溶き片栗粉でとろみを付けたもの。アボカドのディップは、アボカドとクリームチーズをつぶし、レモン汁・塩・ハーブ塩で調味した。紅白なますは大根・金時ニンジンそれぞれに塩をして、水分を取り、甘酢に浸けたもの。生コショウを添えて。
- 佐々木:
- おいしいんやけど……このタレ、ベースのだしは何?
- 山下:
- だしは入ってないです。
- 佐々木:
- アカン。だからコクがないねん。
牛スジとか切れ端をフライパンで炒めて、酒と水、濃口醤油、ザラメと砂糖を入れてコトコト炊くねん。そしたら肉がだしになって、ソースにコクが出てくる。肉に合わせるソースは、肉からだしをとって作らないとおいしいものはできない。
- 山下:
- はい! ソースを作り直します。
- 佐々木:
- あと、肉が2枚やったら生コショウは4つ。添え物は味のバランスをみて量を加減しやなアカンで。
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