『衹園さゝ木』3月の献立会議【後編】
京都『衹園さゝ木』で提供する料理を師弟で決めていく献立会議後編。今回は鉢物、進肴(すすめざかな)、ご飯物、デザートがテーマです。だいたいの料理が出そろった後、大将・佐々木 浩さんは「ちょっと物足りひんかも」と料理を追加、さらに献立の流れをガラリと変えます。過去の失敗談も交え、献立を立てる上で大切なことを伝えていきます。
『衹園さゝ木』の献立会議:2023年、リニューアルを経てコンセプトを「師弟で挑む味づくり」に。調理スタッフと共にアイデアを出し合い、若い感性と佐々木さんの経験値を掛け合わせ、献立を組み立てる。夜のコースは基本的に、先付、前菜、椀、向付2品、鮨2カン、焼き物、進肴(すすめざかな)、鉢物、ご飯物、デザート。昼のコースは夜のメニューを取り入れつつ、料理6品、ご飯、デザートで構成する。献立会議を経た後、すべての料理を試作し、改めて試食会でサービススタッフや姉妹店『衹園 楽味』のスタッフが試食、最終チェック。料理内容は、その都度、修正・改良が加えられる。
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佐々木 浩さん(『衹園 さゝ木』店主)
1961年、奈良県生まれ。前衛的な味と軽妙な話術で場を盛り上げるカウンターの名手。97年に独立し、衹園町北側に『衹園 さゝ木』開店。2006年、現在の地に移転してからはいよいよカリスマ性を発揮。「弟子を育てる店造りを」と改装を施し、23年8月、リニューアルオープンを果たす。
調理スタッフは、右より煮方を務める坂東春樹さん、田中涼平さん、千谷友哉さん、桑原汰知(たいち)さん、ピスケルニック・ナディアさん、下澤海里(かいり)さん。
鉢物
- 佐々木:
- 食事前にほっこりしてもらう鉢物。3月はどんなんがええかな。
- 田中:
- 僕が考えたのは、小さな鍋です。焼いたフグ白子に、刻んだウドを入れてグツグツで提供。フキノトウオイルを垂らし、春の香りをプラスします。
- 佐々木:
- うん、おいしそうや。
野菜はウドじゃなくてフキとか…葛切りを泳がすのもいいね。
だしは何が合うかな。
- 坂東:
- 白菜や干し椎茸とか、鍋に入れるような具材でだしをとるのはどうでしょう。
さらにフグのヒレを炙って香りを付けるとか。
- 佐々木:
- ……あ、2月の献立会議で案が出たけどやらんかった、コース仕立ての鍋もいいよな。
お客さんの前で具材を順番に火入れして食べていただくやつ。先月はカニで考えてたけど、フグ白子でやってみる?
始めに白菜、次に椎茸、最後にフグ白子をレア気味に火入れしてお出しする。
カツオ昆布に調味しただしでいけると思う!
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