『NOTO no KOE little book』を読んで

ページをめくるたび、旅をしているような気持ちになる。
それは、能登への旅でもあり、自分自身の記憶をたどる旅でもある。
『NOTO no KOE little book』は、東京のフランス料理店『エスキス』のリオネル・ベカ氏をはじめとする12人が寄稿した小さな本だ。
写真集でもなければ、震災を記録する一冊でもない。もちろん、能登半島地震を経た今だからこそ生まれた本ではある。
けれど、この本が見つめているのは、もっと普遍的なものだ。
季節が巡ること、誰かと食卓を囲むこと、風景が心に残ること。そして、その土地で受け継がれてきた暮らしや営みが、未来へ続いていくこと。
ページをめくるたび、「能登」について読んでいるはずなのに、いつしか自分の大切な場所や、忘れかけていた景色のことを思い出している。
そして何気ない描写が、一皿を支えているものは食材や技術だけではなく、土地の時間や、人とのつながりなのだと教えてくれる。
寄稿した12人は、それぞれが見た風景や、心に残った出来事を差し出している。読み終えたあと、心に残るのは、「能登は美しく、逞しい」ということ。そしてどこかへ行きたくなり、大切な人に会いたくなる。季節の移ろいを、もう少し丁寧に感じたくなる。
そんな小さな衝動が、静かに芽生える。
※本書の収益の一部は、能登地域に寄付されます。
●詳細
https://notonokoe.base.shop/
発行日: 2026年4月8日 写真: リオネル・ベカ、石川直樹(p.65-66)
文:石井かほり(映画監督・治療家)、石川直樹(写真家)、内田也哉子(文章家)、岡本英史(BEAUPAYSAGE 栽培醸造家)熊谷和徳(タップダンサー)、クリス智子(ラジオパーソナリティ)、関口涼子(作家・翻訳家)、勅使河原加奈子(フードプランナー、通訳・翻訳)、生江史伸(料理人・シェフ)、平田明珠(料理人・シェフ)、皆川明(デザイナー・アーティスト)、リオネル・ベカ(料理人・シェフ)
翻訳:アレクサンダー・O・スミス
編集・文:藤木洋介(Yosuke Fujiki Van Gogh Co., Ltd.)
デザイン:宮添浩司
印刷・製本:株式会社藤原印刷
発行人:クリス智子、勅使河原加奈子、リオネル・ベカ
発行所:NOTO no KOE Publishing
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