【レシピ付き】蛤の蕎麦饅頭——『キュイジーヌ・ド・オオサカ・リョウ』畑島 亮さん作
第130回の大阪料理会は、「冬の温かい一品」をテーマに、3人の会員が料理を発表しました。1月の開催だけあって、全員がおせちのため大量に仕入れた食材を活用。トップバッターは、西天満の『キュイジーヌ・ド・オオサカ・リョウ』の畑島 亮さん。料理屋ではそれほどポピュラーな食材ではない蕎麦(そば)粉を使った一品には、あんのとろみにも一番蕎麦粉を使う工夫が。また、おせちには使わなかった金時ニンジンの細い部分で、なんと梅干しを創作。実は今回の3人、「それぞれの梅人参」を隠れテーマにしていたそうです。続いて配信するお二人の「梅人参」にもご注目を!
※大阪料理会 公式サイトhttps://osakaryourikai.com/
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畑島 亮さん(大阪・西天満|『キュイジーヌ・ド・オオサカ・リョウ』)
1976年、大阪府生まれ。ミナミの料亭や北新地の割烹にて腕を磨き、フレンチ・イタリアンの料理人との交流から、ソムリエ資格も取得。2010年に独立し、和食と串カツを看板に、ワインを楽しめる店をオープン。大阪の食材に軸足を置きつつ、和洋を行き来する柔軟な発想が持ち味で、そのアイデアは大阪料理会でも注目の的だ。
塩で食べる蕎麦をイメージして、ハマグリの濃厚なだしを合わせました
蕎麦を塩でいただくと、風味がより鮮烈に感じられますよね。あの豊かな香りを料理で表現したいなと思って、ハマグリの濃いだしで蕎麦饅頭を味わっていただく仕立てを思い付きました。
蕎麦饅頭は二層にしています。内側の生地に使ったのは、一番粉。蕎麦の実を挽いて最初に取れる中心部の真っ白な粉で、「更科粉(さらしなこ)」とも呼ばれます。繊細な風味で、煉るとつるっとした食感になります。
その次に取れる二番粉には甘皮なども混ざるので、その分、風味も強く、色も濃い。これを外側の生地に使いました。本当は、田舎蕎麦に使う三番粉を使いたかったのですが、手に入らず…残念です。
蕎麦粉の生地は加熱しすぎるとすぐに香りが飛んでしまうので、火にかけて煉る時間はどちらも2分半。味付けは塩だけでもいいくらいですが、白醤油と赤酒もごくわずかに加えています。
今回の隠れテーマである梅人参をあしらって…と思ったのですが、ちょっと味が合わなかったので、お口直しとして添えています。見た目は梅干しですが、実はニンジン。おせちで金時ニンジンを使うと、細い部分が余るので、これを利用しています。作ってみたら美味しくて、面白い。大阪らしい遊び心があって、自分でも気に入っています。
「そばがきとはまた違う仕立てで、柔らかく、香りも良かった」と、蕎麦饅頭が会員に大好評。一方、畑会長は「もっと蕎麦の香りが欲しかった。蕎麦粉を火にかけず、湯ごねした方がよかったのでは?」と指摘しながらも、「梅干し人参は素晴らしい仕事」と称えた。
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