【レシピ付き】鯛の桜蒸し——『キュイジーヌ・ド・オオサカ・リョウ』畑島 亮さん作
桜の葉の塩漬けを使って桜鯛を塩〆し、花の塩漬けをビジュアルのアクセントに。3月の大阪料理会のテーマ食材・桜鯛を春爛漫な一皿に仕上げたのは、西天満の『キュイジーヌ・ド・オオサカ・リョウ』の畑島 亮さん。脂のりが弱い桜鯛をしっとりジューシーに仕上げるため、油でコーティングして保湿。自家製の鴨油を桜鯛にまとわせて下蒸しし、さらに、太白ゴマ油を絡めた若ゴボウをのせて蒸し上げるという技ありの油使いは、串揚げの名手・畑島さんの面目躍如となりました。
※大阪料理会 公式サイトhttps://osakaryourikai.com/
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畑島 亮さん(大阪・西天満|『キュイジーヌ・ド・オオサカ・リョウ(Cuisine d’Osaka Ryo)』)
1976年、大阪府生まれ。ミナミの料亭や北新地の割烹にて腕を磨き、フレンチ・イタリアンの料理人との交流から、ソムリエ資格も取得。2010年に独立し、和食と串カツを看板に、ワインを楽しめる店をオープン。大阪の食材に軸足を置きつつ、和洋を行き来する柔軟な発想が持ち味で、そのアイデアは大阪料理会でも注目の的だ。
塩漬けの桜葉で〆て、鴨油で保湿し、桜鯛をしっとり香りよく蒸し上げました
桜鯛はこの時季、産卵期を迎えているので、子に栄養を取られて身は痩せています。火を入れると、どうしてもパサついてしまうので、何かいい手はないか?と探していました。
うちは串揚げと和食を組み合わせたコースをお出ししているので、油を上手く使えないかな…と考えていたところ、中国料理のとある技法にたどり着きました。
食材の表面をラードでコーティングして蒸し上げるというものです。
桜鯛にラードはちょっと重たいと思ったのですが、動物性の油を使ってコクも深めたい。そこで、着目したのが自家製の鴨油です。鴨にはたっぷり脂身があるので、これを焼いて溶かし、ストックしています。
せっかく桜鯛を使うので、桜の香りを少しでも付けられないか、と蒸す前に塩漬けの桜葉で塩〆しました。塩気が少し足りないので、身には薄塩を当てています。
鴨油を塗ってから中火で約5分蒸し上げると水分が抜けずに保湿され、余熱でしっとりと火が入ります。ジューシーで理想的な火入れになりました!
上にのせたのは、今が旬の若ゴボウ。根も使っています。笹打ちにしたものに塩をまぶして鯛の上にのせ、熱した太白ゴマ油をジュッとかけて…という中国料理の手法で仕上げようとも思ったのですが、繊細な桜の香りが飛んでしまうともったいないので、若ゴボウを太白ゴマ油で和えてのせ、蒸し上げることにしました。
このままでも十分美味しいのですが、何かちょっと物足りなさを感じて、碓井豌豆(うすいえんどう)のすり流しを合わせています。さらに、桜花の塩漬けをあしらって、春らしい一品に仕上げました。
葉桜を思わせるような、春らしいビジュアルが大好評。桜鯛を主役に、桜の葉と花の塩漬けを使った桜尽くしの仕立ても効果的と高評価。鴨油でコーティングしたことで「桜鯛の火入れが絶妙」と畑耕一郎会長(右)。「桜花の塩漬けは塩分が強いので、刻んで散らした方が味わいの面ではよかったのでは?」という指摘に、「なるほど!」と畑島さんは膝を打っていた。
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