【レシピ付き】ヴィーガン料理「人参サラダ(五法仕立て)」——『じょう崎』城崎栄一さん作
和食の世界で西洋ニンジンは、「より人参」「花びら人参」など、あしらしには重宝しますが、主役になりにくい食材。ヴィーガン料理がテーマの今回、吹田『じょう崎』の城崎栄一さんは西洋ニンジンに光を当てるべく、和食の調理の五法すべてを使ってサラダを仕立てました。ドレッシングの味付けには、自家製「人参酵素シロップ」が大活躍。栄養価も高く、甘味調味料の代わりになる優れものとあって、会員は興味津々。その酵素シロップを使ってオレンジ・黄色と2色のドレッシングを作る意外な方法にも関心が集まりました。
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城崎栄一さん(大阪・吹田『じょう崎』店主)
1967年、福岡県生まれ。18歳で神戸の料亭に入り、関西の数軒のホテルで和食の経験を積む。1995年、神戸・三宮にて割烹の料理長に抜擢されたところで震災が起こり、同年4月、大阪の吹田で独立を決意。「野菜の皮など未利用部分をもっと活用した提案をしていきたい」と語り、実直に大阪料理と向き合う。
生・蒸す・煮る・焼く・揚げるの五法でニンジンの多彩な持ち味を生かしました
うちでは「人参酵素シロップ」を自家製しています。玉ネギ・リンゴ・上白糖と合わせ、常温の暗所に置いて1日2回混ぜると、発酵が始まり、プツプツと泡が出てきます。夏場なら1週間くらいで完成しますが、冬場はもう少し長く置いた方がいいですね。
漉してから殺菌した瓶で保存し、甘味調味料として重宝しています。和食店では、西洋ニンジンって余りがちでしょう。こうしてシロップにすると、1年くらい保存できるので、いい活用術だと思っています。
実は、「人参酵素シロップ」でドレッシングを作ったら、美味しいだけでなく、予想外のことが起こって。泡だて器で混ぜ合わせるとオレンジ色に仕上がるのですが、ミキサーにかけると油がより乳化して、黄色に変わったんです。味わいもマイルドになって、食べ比べると面白いので、2色どちらも使って、サラダを考案しました。
西洋ニンジンは通年手に入りますが、甘みや栄養分が増すのは秋から冬。その旬味を生かすべく、ニンジンだけで仕立てました。生だと独特の香味があり、火を通すと甘くなる。食感も火の入れ方で変わりますから、ニンジンの様々な持ち味を引き出すのに、和食の調理に欠かせない「五法」をすべて使っています。
人参饅頭は蒸してから揚げ、仕上げにサラマンダーで焼いてます。その中に、帯状に切ってたて塩に浸した生のニンジンを食感のアクセントに射込みました。あえて味付けをせずに仕上げたので、ニンジンの甘みがぐっと際立っていると思います。
大量に余る皮は、素揚げしてあしらいに。紅葉型のニンジンは、八方煮にして散らしました。そこに生の風味を生かした2色のドレッシングを添えています。
「人参饅頭にドレッシングを合わせる発想が斬新」というのが、大半の意見。ベースとなる酵素シロップに質問が集中した。「西洋のサラダは、焼いたり揚げたりして野菜の表情が豊か。それをニンジンだけでやったのが面白い。こういう発想は和食でも取り入れるべき」と畑 耕一郎先生が総評し、「このドレッシングは、酢〆や昆布〆の魚と相性が良さそう」とも話した。
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