【レシピ付き】大阪黒菜の信田巻——『和洋遊膳 中村』中村正明さん作
明治10年代までは、大阪市内で盛んに栽培されていたという「大阪黒菜(くろな)」。小松菜によく似た葉野菜です。一度は途絶えてしまいましたが、ここ数年で復活し、保存会も発足。昨年末、なにわの伝統野菜にも認定されました。そこで今回は、西心斎橋の割烹『和洋遊膳 中村』店主の中村正明さんが、大阪黒菜の魅力を引き出した一品を考案。木綿豆腐で仕立てるなめらかな白地にも注目が集まりました。
※大阪料理会 公式サイトhttps://osakaryourikai.com/
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中村正明さん(大阪・西心斎橋|『和洋遊膳 中村』店主)
1963年、奈良県生まれ。20歳で『志摩観光ホテル』のメインダイニング『ラ・メール』入店。総料理長・高橋忠之氏の下、フランス料理を修め、スウェーデン日本大使館の公邸料理人に。さらに『浪速割烹 㐂川(きがわ)』で腕を磨き、1995年に独立。和洋の枠に捉われない自由闊達な料理に定評がある。奈良に菜園を持ち、自ら野菜も栽培。「大阪料理会」運営委員。
風味が力強い大阪黒菜の個性をシンプルに生かして炒め煮にしています
昨春、大阪料理会で春蒔(ま)きの大阪黒菜が配られ、初めて食べました。本来は秋に種を蒔き、冬に収穫するそうで、今回届いたものは、姿も立派で味もしっかりとしていました。
姿も味も小松菜に似ていますが、伝統野菜だけあって、より風味が濃いと感じました。ほろ苦さはありますが、アクはありません。その特徴を生かそうと思ったら、あんまりいらんことはせんと、シンプルに炒めて薄揚げと煮るのがいいなと思ったんです。
実は、初めは黒菜だけに黒いものと合わせて炊こうかと思って、イカ墨で味付けしてみたら、油揚げがえらい色になってしまって(笑)。
大阪黒菜は、軸が長いんですね。葉との食感のコントラストを魅力にしたかったので、巻きすで巻いて、一口大に切って白地(白和え衣)で食べる、この形に行き着きました。
茎にも葉にもハリはありますが、柔らかいので、火を通しすぎない方がいいと思います。下茹ですると、ちょっともったいないですね。葉と軸に分けてゴマ油で炒め、さっと煮上げています。
白地には、クリーミーでコクが豊かな木綿豆腐を使っています。水切りせず、そのままフードプロセッサーにかけて、すりゴマや白味噌と合わせるだけで、充分なめらかで、美味しく仕上がります。
大阪黒菜はアブラナ科で、野沢菜や日野菜などと同じ漬菜(つけな)の一種。生育がよいそうで、軸が長く、大きく育つ。
大阪黒菜は、なにわの伝統野菜を多数扱う福島区の『フレッシュフーズマツモト』で入手できる。この日は代表の松本孝史(たかし)さん(左)も飛び入り参加。畑 耕一郎会長は、「大阪黒菜は炒め煮がやっぱり美味い。今回のように、ちょっと歯触りが残る程度に煮上げるのがいい」と総括した。
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