大阪料理会

【レシピ付き】キノコ料理vol.3餃子の皮を使った、椎茸肉詰め小籠包風

『旬菜味空-みそら-』の筒井宏樹さんは、テーマ食材のキノコを大阪産(もん)からセレクト。西成区で栽培する「よろしい茸」(椎茸)に、河内鴨のミンチのあんを詰めた小籠包風の一品を提案しました。あんには、椎茸の軸とタモギ茸、椎茸粉や自家製の椎茸醤油も加えて、キノコの存在感を強調。肉汁を逃さないよう餃子の皮で包む工夫が好評を博しました。


※大阪料理会 公式サイト https://osakaryourikai.com/

聞き書き:中本由美子 / 撮影:福本 旭

目次

筒井宏樹さん(大阪・千鳥橋|『旬菜 味空-みそらー』店主)

1978年、愛知県西尾市生まれ。高校卒業後、調理師派遣やケータリングなども行う大阪・港区の日本料理『菜花野(なかの)』に就職。2016年、『旬菜 味空-みそらー』を開店。「食の都・大阪グランプリ」に7回入選(第2回は和食・日本料理部門優勝)、19年にはグランド・チャンピオンに輝いた。「庖寿会調理師紹介所」会長、「一般社団法人大阪府日本調理技能士会」理事。「大阪料理会」には23年より参加。

『旬菜味空-みそら-』筒井宏樹さん作
椎茸とたもぎ茸の肉詰め

テーマ食材のキノコは大阪産を選ぼうと思い、障がい者の就労支援もしている西成区の『よろしい茸工房』を見学してきました。椎茸粉や乾物、オイル漬けなどの加工品も作っていて興味深かったです。

「よろしい茸」は菌床栽培の椎茸で、肉厚な上、みずみずしくフレッシュ感が魅力的でした。ジューシーな椎茸のエキスを逃さず味わっていただこうと考えたのが、椎茸の肉詰めです。

『よろしい茸工房』の普通サイズの「よろしい茸」よろしい茸工房』の普通サイズの「よろしい茸」。ビニールハウス内でモーツアルトの曲を聴かせ、電子水を使って菌床栽培。大阪産(もん)の認定も受けている。

自家製醤油に粉末も使って、キノコの存在を前面に

肉詰めのあんのベースは河内鴨のミンチを使っていますが、あくまでキノコを主役にしたかったので、鴨の旨みに負けないような工夫をしています。

あんには、「よろしい茸」の軸をミキサーで細かくして加え、椎茸粉をたっぷりと混ぜています。
味の決め手は、自家製の椎茸醤油。乾燥椎茸に昆布の旨みも足して、みりんとザラメで少し甘めに調味しています。しっかりと椎茸の風味が感じられるよう、2日ほど寝かせてから使いました。

タモギ茸の力強い旨みを効かせる

ミンチ肉を使ってあんを作る場合、ショウガやネギなどの香味野菜を加えるのが一般的ですが、キノコの風味が弱まってしまうような気がしたので、今回は使いませんでした。

その代わりに、『よろしい茸工房』ではタモギ茸も作っていたので、粗みじん切りにして加えています。タモギ茸はヒラタケ科のキノコで、鮮やかな黄色の傘が特長です。安価なのに、「だしキノコ」とも呼ばれるくらい旨みが強いので、キノコの存在感を強めるのに一役買ってくれたと思います。

イメージは、素材のエキスを逃さない小籠包

椎茸の肉詰めをガブッと食べると、肉汁と共に椎茸のエキスがジュワーっと口の中に広がるイメージをしていたので、小籠包のように肉詰めを皮で包んで蒸そうと考えました。

大きな餃子の皮を使って試作すると、空気が入ってぶよぶよになってしまって…。肉詰めの上下に餃子の皮をのせて包むと、空気を逃がすことができるので、うまくいきました。点心のような見た目になって、面白いかな、と思います。

大阪産の「よろしい茸」が「肉厚でみずみずしい」と大好評。小籠包のような仕立ても面白いというコメントが多かったが、一方で「一口では食べにくいので、椎茸のエキスが出てしまってもったいない」という声も。畑 耕一郎会長は「和食らしく、小さな碗に盛っても良かったのでは? タモギ茸はさっと煮て、その煮汁を銀あんにすると、もっと存在感が出たように思う」と提案した。

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