【レシピ付き】自家製の銀杏味噌が個性を放つ、一夜干しの鱈の白子焼
京橋『はしま』の山本 英(はなぶさ)さんは、夏場の新ギンナンを使って毎年味噌を仕込みます。今回はその自家製味噌を使って、タラの白子焼を提案しました。会員は銀杏味噌に興味津々。作り方への質問だけでなく、「秋のギンナンを使ったら、また違った風味になりそう」など様々な意見が出て、会は大盛り上がり。一夜干しにしたタラのしっとりした食感も好評を博しました。
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山本 英さん(大阪・京橋|『はしま』店主)
1977年、大阪市生まれ。中央大学英文学科を卒業後、22歳で父が営む『はしま』に入店。和食の基礎を学び、25歳で店長に。「コースの中でいろんなタイプの“美味しさ”を表現したい」と意欲を燃やし、京橋では希少な日本料理店として人気を獲得。大阪料理会では、探究心旺盛な40代として活躍が期待されている。
『はしま』山本 英さん作 干鱈と蕪の銀杏味噌仕立て
“干したタラ”というと、関西ではおせちに欠かせない棒ダラをイメージしますが、棒ダラは扱いづらいので、今回は塩水に浸けてから一夜干しにしたものを焼物にしました。白子のペーストを塗って焼き上げています。
タラの焼物がしっかりした味なので、カブはマグロ昆布だしだけであっさりと炊いています。少し油気が欲しかったので、葉を天ぷらに。さらに、ピューレにして仕上げにかけ、鮮やかな緑をアクセントにしました。
この一品の主役は、自家製した銀杏味噌です。タラの焼物もカブも、この味噌を付けて食べていただくように塩梅しています。
新ギンナンで夏場に仕込んだ味噌
ここ数年、うちでは7月くらいから出回る新ギンナンで味噌を仕込んでいます。
僕はギンナンに割れ目を入れて殻ごと茹でます。ぷくっとしてきたら上げて殻と薄皮をむき、手で軽く潰してから米麹と塩、少し茹で汁も加えて4カ月ほど発酵させています。
夏場に仕込むので、腐敗しないよう、塩は多めです。気温が高くなったら冷蔵庫に入れたり、低い日は常温で置いたりしながら、時折混ぜて様子を見て、発酵を促しています。
その他に、黒豆味噌も仕込んでいます。お正月用の黒豆を炊くのに、不揃いのものなどが出てきますから、これを活用しています。
秋のギンナンを合わせて味に奥行きを
銀杏味噌は塩分が強いですから、今回は茹でギンナンをすり潰したものとみりんを合わせ、優しい味にしています。少し炊いてとろみを付け、銀杏味噌地としました。
ギンナンは夏から年末まで出回るので、変わりゆく風味を楽しむもの。この味噌地は、出始めの夏の味わいと、成熟した秋の風味のどちらも楽しんでいただけると思います。
うちのお客さんにとても好評なので、銀杏味噌は年末までに大体使い切ってしまいます。11月なら海老芋と甘鯛の焼物に、12月ならぶり大根に合わせたりしています。
タラを一夜干しにして、白子焼に
今回は白子を使いたかったので、6.8㎏の大きなタラを1尾仕入れました。ここまで大きいと、水分が多くて柔らかすぎるので、焼物にするには身を締めた方がいいかなと思って。塩水に浸けてから一夜干しにしました。
白子は茹でてからピューレ状にして、軽く焼いた干しタラに塗って焼き上げています。銀杏味噌の味で食べていただきたいので、タラも白子も塩分は控えめ。パサつきがちなタラですが、一夜干しにすることでしっとりと仕上がったかな、と思います。
銀杏味噌が大好評だった一方で、カブとの繋がりを指摘する声も。「カブを焼いたら相性がよくなりそう」「カブを白味噌で煮るのも手では?」というアドバイスに、山本さんは刺激を受けたご様子。畑 耕一郎会長から「味はとても良かったが、雲子の姿を少し残して仕上げても良かったのでは?」との助言もあった。
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