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【レシピ付き】和食のだしに活用したい、中国料理のスープ「湯」Vol.1

「昆布とカツオから引いたものとは違う、旨みあるだし。特に、中国料理の『湯(タン)』を学びたいんです」と熱望するのは、大阪・肥後橋にある人気割烹『にしの』店主・西野正拡さん。ラブコールを送ったのは、“透明感のある中国料理”と称される、京都・岡崎『京、静華』の宮本静夫さんです。「ギリギリまで調味を削ぎ落した宮本さんの料理は、和食に生かせるものも多いと思うんです」と西野さんは話します。
宮本シェフからは「旨みとコクをいかに引き出すか? をテーマに、2種の『湯』についてお教えしましょう」とありがたいお言葉。
和食に親和性がある「湯」の取り方を、2回に分けてご紹介します。

文:船井香緒里 / 撮影:東谷幸一
宮本静夫さん(『京、静華』オーナーシェフ)

1951年神奈川県生まれ。28歳の時に料理人を志し、陳 建民による料理学校「恵比寿中国料理学院」に通うなどして経験を積み、1983年、静岡・浜松市に『静華』を開店。その後も、たびたび台湾、台北、香港へ渡り、現地で技術を磨く。55歳の時、一旦店を閉じ、北京の料理学校で1年間研鑽を積む。2008年、京都に拠点を移し『京、静華』を開く。2019年、カウンターがメインのフロアにリニューアル。

西野正拡さん(『にしの』店主)

1982年大阪府出身。大学卒業後、実家の寿司屋で1年経験を積んだ後、「割烹仕事をしっかり身につけたい」と大阪・島之内『太庵(たいあん)』の暖簾をくぐり、約10年修業を積む。その後、「季節感が散りばめられた、料亭ならではの細やかな仕事を学びたい」と、『味𠮷兆』主人・中谷隆亮さんに師事。2年の修練の後、2018年5月に独立。

旨みを重ね、透明感を際立たせる「清湯(チンタン)」

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西野正拡(以下:西野)
宮本シェフのお料理をいただき、スープのクリアで深い味わいに感動しました。
昆布やカツオから引いただしではないのに、和食に落とし込めそうな透明感。ぜひ学ばせていただきたいと、今日は弟子入りを志願しました。
宮本静夫(以下:宮本)
それは嬉しいですね。
中国料理のスープのことを「湯(タン)」といいますが、調理中に用いるものも、椀物のだしのようにそのまま味わうものも、どちらも湯です。
西野:
あらゆる種類がありますよね。

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宮本:

「素湯(スータン)」と呼ばれる精進スープは、和食の精進だしとほぼ同じですね。
その他は、基本的に動物系、主に鶏と豚、鴨や牛の肉や骨を用います。また、時間のかけ方や加熱温度によっても、取れる湯の呼び方は異なるんです。

今日は、2種の湯を紹介しますよ。前半では、濁りのない透明感あるスープ「清湯(チンタン)」を。後半では白濁したスープ「白湯(バイタン)」の取り方を教えましょう。

まず、和食との親和性を考えますと、清湯は外せませんね。この湯を取るための、ベースになるのが「上湯(シャンタン)」です。

西野:
最上級スープと呼ばれる上湯を、さらに透明感あるものにしたものが清湯、ということですか?

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宮本:
そうです。
これが上湯です。見ためは、和食の一番だしのようでしょう。まずは、上湯のベースになる湯を取ります。そこに材料を加え、加熱していくのです。
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