【レシピ付き】鍋に合わせたい、エスニックなタレ Vol.1鴨鍋編
京都『富小路 やま岸』の姉妹店であり、“鍋懐石”を供する『二条 やま岸』。料理長の横井裕史さん曰く、「メインの鍋では、季節の素材とだしで、『やま岸』らしさを表現します」。1月に登場する白味噌仕立てのフグ鍋には、オリジナルの塩ポン酢を合わせるなど、つけダレも工夫。「他にも辛子や柚子胡椒などをご用意しますが、どれも和食の定番です。もっと意外性のあるタレを作ることができないか…」。そこで、京都の人気酒場『ブランカ』吉岡哲生さんに弟子入りを所望。「吉岡さんが生み出す、センスある多国籍なアテ。その、素材との相乗効果で美味しくなるタレがどれも素晴らしいんです」と語る横井さんは、「お店でお出しする鍋料理を持参します!」という熱の入れよう。鴨肉、そしてフグを主役にした2種の鍋それぞれに、吉岡さんが使い勝手のいい秘伝のタレを提案。その模様を2回に分けてお伝えします。
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吉岡哲生さん(『ブランカ』店主)
1970年、東京都葛飾区生まれ。東京・表参道『Spiral』の多国籍料理『CAY(カイ)』、レストラン『西麻布 またはり』(現在は静岡・熱海にて鉄板料理店として営業)、石垣島の無国籍料理『辺銀(ぺんぎん)食堂』などで修業。その間に、ベトナム、タイ、台湾、インドネシアや南米を旅する中、各国のエッセンスを吸収。2014年、「ジャンルにとらわれない気楽な店を」と、京都・御幸町姉小路にて独立。
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横井裕史さん(『二条 やま岸』料理長)
1987年、静岡県掛川市生まれ。19歳で京都『和久傳』の門をくぐり、8年間修業。丸太町『木山』で1年半経験を積み、2019年『二条やま岸』開店のタイミングで料理長に抜擢。先付から始まる6品ほどの料理の後、炊合せ感覚で味わえる季節の鍋を提供。「皆が楽しく集まることができるアットホームな店を」という店主・山岸隆博さんのスピリッツを受け継ぐ。
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鴨鍋に照準を合わせた、スパイスやハーブが香る2種の万能ダレ
- 横井裕史(以下:横井)
- 先日『ブランカ』さんに伺い、いただいたメニューの数々は、僕ら和食料理人にはない発想を感じさせる料理ばかりでした。シンプルに素材の力強さを感じさせつつ、複雑なスパイス使いやその香りが衝撃的で…。
- 吉岡哲生(以下:吉岡)
- アジアや南米を旅して学んだ、いいとこどりですよ。ジャンルにとらわれない気楽な店にしたかったからね。
- 横井:
- なかでも僕が一番、印象的だった料理が「カモネギシナモン」です。エキゾチックな香りがする甘辛ダレと、鴨肉の脂の旨みとの相性が抜群でした。
- 吉岡:
- あの一品には、たまり醤油にシナモンや八角の香りを移した「シナモン醤油ダレ」を使っています。鴨はもちろん、鳥肝の串焼き、焼いた豚肩ロースにも合います。
- 横井:
- おっしゃる通り、肉と相性がいいタレだなと感じ…。ふと、『二条 やま岸』でご提供している、鴨鍋のつけダレにしても合いそうだなと想像していたんです。鴨鍋にはいつも、塩ポン酢や山椒味噌などの自家製調味料を、小皿に入れて添えます。だけど、馴染みのある和テイストに収まりがち。
そこで今日は、僕ら和食料理人のテクニックにはない香り・旨みの組み立て方を、吉岡さんに教えて頂きたいんです。
- 吉岡:
- エスニックな調味料が、和食に寄り添うことができるのか。僕も興味津々です。
『ブランカ』秘伝のタレの作り方をお教えしましょう。
- 横井:
- ありがとうございます! 僕、ちょっと気合い入りすぎまして、実際にお店で出している「鴨とネギとキノコの鍋」を持ってきました(笑)。
- 吉岡:
- では、横井さんが気に入ってくれた「シナモン醤油ダレ」と、せっかくなのでもう1種、ナムプラーをベースにした「ヤムダレ」も教えましょう。和え物やサラダ、麺のタレにもなる万能なタレです。
- 横井:
- 嬉しいです! よろしくお願いいたします。
- 吉岡:
- まずは「シナモン醤油ダレ」から。このタレのルーツは、ベトナムの屋台で出合った「もち米の蓮の葉包み蒸し」です。具となる鴨や豚肉の味付けに使われるのが、スパイスの香りを生かした甘辛いタレ。だけど現地で市販しているものには、ベタッとした甘さを感じて…。だから、たまり醤油でコクを出したり、レモン汁をたっぷり加えるなど、僕なりにアレンジしました。
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