【基本編】鮎×ワインのマリアージュ
「香魚」とも呼ばれる鮎は、定番・塩焼きにすると内臓の苦み、頭の香ばしさ、身の瓜っぽい香りが際立ちます。そんな、多彩な味わいを持つ鮎にワインを合わせるポイントをご紹介。さらに、「やってはいけない」注意点もお伝えします。
<「香魚」と呼ばれる、鮎>
鮎は雨季を過ぎて全長10㎝ほどになると、川底の珪藻(けいそう)をエサにします。それによって、内臓は独特のほろ苦さを持ち、身はスイカのような香りに。これが鮎が「香魚」と呼ばれる所以です。川によって珪藻の成分が異なるため、どの川で獲れたのかによって鮎の味わいが微妙に異なります。
漁が解禁となるのは地域によって異なりますが、多くは6月1日前後。この時季の鮎の風味は繊細で、骨が柔らかい。7月頭くらいまでは骨ごと輪切りにして洗いにし、お造りとして食べる「背越し」や、定番の塩焼きにしていただくことが多いようです。
和食専門サイト「WA・TO・BI」では、浪速割烹の古き良き仕事を動画にて伝える連載「浪速割烹の“動く”料理」を公開。プロ向けに鮎の背越しと塩焼きの調理のポイントを動画でお届けしています。
【動画レシピ付き】焼きムラがなく、ヒレや尾まで美味い「鮎の塩焼き」
鮎の塩焼き×ワインのマリアージュ
今回は、鮎の定番料理・塩焼きに合うワインについてお伝えします。
マリアージュの基本は、「食べ物とワインの味わいに、共通点を作ること」。ところが、鮎の塩焼きの特徴と言えば、頭の香ばしさ、内臓の苦み、身のスイカのような瓜っぽい感じなどさまざま。さらに、食べる際には酸味のある蓼(たで)酢をつけることも多いので、どの部分とワインを合わせたらいいのか迷うかもしれません。
その答えとしては「どこに合わせてもいい」。つまり、鮎の塩焼きは、マリアージュのポイントが多い食材とも言えるワケです。
身の味わいに寄り添う、ソーヴィニヨン・ブラン
定番は、鮎の身や蓼酢の瓜っぽい香り・味わいと呼応するワインを選ぶことです。中でも、味わいに“青さ”やハーブ感のあるソーヴィニヨン・ブランはドンピシャ。とはいえ、トロピカルフルーツのような甘さの白ワインもあるので、しっかり清涼感があるものを選びましょう。内臓など苦みがある部分と甘さがあるワインを一緒にいただくと、不快な苦みが残ります。また、清涼感があっても温度が上がると同じような余韻が残ることもあるので、しっかり冷やしていただくよう心がけましょう。
さらに、鮎の味わいは強いので、アルコール感や味わいに厚みがあるなど、ボディ感があるものを選ぶと、バランスもいいでしょう。
赤ワインなら、メルロー主体のものをセレクト
内臓のほろ苦さに焦点を当てるなら、落ち着いた渋味のメルロー主体のものがオススメです。先ほど「鮎は味わいが強い」とお伝えしましたが、繊細さも持ち合わせています。タンニン(渋味)が強すぎると鮎の味わいを流してしまいますので、気をつけましょう。
また、メルロー主体であっても、フランス・ボルドーのようにしっかり樽で熟成させたワインもあれば、日本で造られ、果実味が柔らかいものも。樽のニュアンスは鮎の頭の香ばしさと呼応しますし、果実味が柔らかければ苦みを引き立てたり、まろやかにしたりと、味わいの印象が異なります。その違いも楽しめると、マリアージュがより楽しくなりますよ。
➡「WA・TO・BI」の連載「和インのマリアージュ」では、和食とワインの相性を検証する記事を掲載。「×鮎の塩焼き。香ばしい頭、苦みの内臓、青い香りの身。マリアージュのポイントでワイン選びも多彩に」という記事では、「和食こそワイン!」という心強い2名の指南役に、鮎の塩焼きに合うワインをご紹介いただいています。
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