【レシピ付き】霜月の締めもの Vol.2 東京『懐石 小室』
春は筍、夏は鱧、秋はスッポンと松茸、冬は真鴨、松葉ガニと、日本各地から届く天然食材を豪快に使い、剛柔併せ持つ繊細な料理で知られる、東京・神楽坂『懐石 小室』。主人の小室光博さんは緩急あるコースの締めを、季節の味覚をふんだんに盛り込んだ独創的なご飯で楽しませます。なかでも滋味豊かな「鴨香茸ごはん」は、小室さんが意図するカウンター割烹の醍醐味である“旅をしているような気分に誘(いざな)う”、香り高い冬の炊き込みご飯です。
東京・神楽坂『懐石 小室』小室光博さん作
鴨香茸ごはん
11月15日は鴨猟の解禁日。毎年この時季になると、『懐石 小室』に絞めて間もない、毛をむしったばかりの新鮮な天然真鴨が届く。これを目の前で、炭火で炙った塩焼きやたれ焼き、鴨鍋で楽しませた後に供するのが「鴨香茸ごはん」。文字通り、香りの強い香茸をたっぷり加え、野性味溢れる天然真鴨と合わせて土鍋で炊き上げる。脂のある真鴨と、林に自生する幻の茸・香茸との相性は抜群。「香茸は真鴨に限らず、猪などのジビエとも合います」と小室さん。そのまま甘辛く炊いて、前菜として使うことも。
香茸はさっと蒸して冷凍保存しておく
香茸はしゃくしゃくとした小気味のいい食感と独特の香りが失われないように、店では蒸してから冷凍で保存している。「生でそのまま置いておくと、すぐに傷んでしまいます。天日で干した香茸もよい香りがしますから、干して調理してもいい。アクが強すぎると感じる場合は、茹でこぼしてから冷凍しても」。収穫期間が1週間と短い香茸は、風味や旨みを逃がさないように下処理しておくことで長く使えるという。
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