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【レシピ付き】“揚げない”山菜料理 Vol.3 大阪『心根』

高槻の山中にある古民家で、自然と共存しながら日本料理を創造する『心根(こころね)』店主・片山 城(きずく)さん。北摂の素材を巧みに用い、今の時季なら毎朝、山菜を摘みに店の裏山へ。「鹿や猪は、新芽や地に生えているものが大好き。ですから山菜摘みは毎日、彼らとのせめぎ合いですよ(笑)」。そんな日々の中、ふとこんな発想が思い浮かんだそう。「鹿と、鹿の好物である芽吹きのエネルギーを、一皿の中に表現してみよう」。

文:船井香緒里 / 撮影:塩崎 聰

大阪・高槻市『心根』片山 城さん作 
春鹿と萌え立つ若菜

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「鮮度のいい山菜は、揚げなくていい。湯がくだけで、余計なアクは取れます」と語る片山さん。「私の主観ですが、タラノ芽はアクが少ないです。だけど咀嚼した後に残る、苦みが気になるところ」。お浸しなど淡い味付けにすると、最後までそのえぐ味が残る。そこで、味噌床に漬けてみたと言う。
先に田舎味噌(麦味噌)の熟成感ある旨みで口の中を満たすことで、タラノ芽の風味を突出させることなく、むしろ咀嚼するほどに味わいの調和を楽しませる算段だ。

野性味ある葉物は、個性を生かした和え物に

「独特の香りと野趣が特徴のセリは、肉料理との相性が抜群です」。まず湯がくことでクセを和らげる。さらに、真昆布とマグロ節、塩からなる白だしにくぐらせ「昆布の旨みで、さらにえぐ味の角を取るイメージです」。数滴の濃口醤油とすりゴマを用い、胡麻和えとした。

一方、「アクは少ないけれど、クセは強い」というナズナは、茹でた後に、白だしをベースにした辛子浸しにする。
それぞれの根は、自家製の山椒油と塩でホイル焼きに。大地の恵みを、余すことなく生かし切る。

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