【レシピ付き】筍料理 Vol.2 東京『赤坂 おぎ乃』の筍の飯蒸し
今年3月に開店4年目を迎えた『赤坂 おぎ乃』。主人の荻野聡士さんが凛として立つ、白木のカウンターは活気に満ち、連日予約で埋まっています。春の献立に欠かせない筍は、オリジナリティを加味し、美しく香り高い料理に。今回ご披露いただく「筍の飯蒸し」も食感のいい揚げ筍と温かな飯蒸し、カラスミの塩味が奥深い味を醸し出す一品です。
東京『赤坂 おぎ乃』荻野聡士さん作
筍の飯蒸し
今回使った筍は福岡・合馬(おうま)産。3月は、ほかに静岡産、京都産を用いる。とはいえ、荻野さんが修業時代に京都で食べていた筍と、東京で味わう筍にはやはり多少違いがあるという。
「筍は採れたてが一番です。焼いただけ、蒸しただけでも、京都で食べる筍は甘い香りがします。東京ではいくら朝掘りのものが届いても、かかった時間分だけ少し違う。ちょっと口惜しいことなんですが(笑)」と荻野さん。
それ故、筍を料理する際には食感と甘みを意識し、筍らしさを感じられる調理を心がけているという。
例えば、筍と相性のいい海老真薯(しんじょ)とワカメはお椀ではなく、筍と海老真薯を挟み焼きや挟み揚げにしてワカメを添え、だしを張って食べ応えのある料理に。
今回の料理も揚げて筍の食感を生かし、飯蒸しにすることで全体の味を膨らませ、カラスミの塩味で筍の清らかな甘みを際立たせる。
筍は根元を使い、食感を生かす
筍は穂先と根元を少しだけ落とし、土付きのまま洗わずに米ぬかとタカノツメを入れた湯の中で30分ほど湯がく。「持ち味を大切にできるだけ素早く湯がきます。あまり火を入れすぎると、筍が味気なくなってしまいます」。
荻野さんが使うのは、食感のいい根元の部分。茹でた後にさっと蒸して水分を抜き、葛粉をはたいて香ばしく揚げる。
「天ぷらやおかき粉揚げなど、いろいろとやり方はありますが、今回は薄く葛粉をまぶして、淡いきつね色くらいに揚げました。ボリッとした食感と香ばしさがいいアクセントになります」。
柔らかな部分は、焚き物に使うことが多いそうだ。
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