「銀座 小十」のエスプリ

【レシピ付き】節分の景から始まる2月のデザイン——造り昆布〆盛り&松葉蟹出ししゃぶ

『銀座 小十』の2月の献立は、節分の景色を映した香合に豆や魚介を盛り込んだ八寸からスタートします。年配のお客様は歳時を感じてどこかほのぼのし、若いお客様はそれぞれの料理に意味があることに目新しさを感じます。そこでお客様の心をぐっと引き寄せ、続く、温かい先付にはハマグリ、筍、若布、ウルイの下に春雨を忍ばせ、新作の「造り昆布〆盛り」ではさまざま味で刺身を楽しませるなど、一品ごとにエキサイティングにドラマチックに展開していきます。真骨頂は、ひと口の「松葉蟹出ししゃぶ」。2月の季節感と、お客様の予想の上を行く仕掛けに彩られたコースは、奥田流の新しいエスプリが満載です。


奥田 透(おくだ とおる):1969年、静岡県静岡市生まれ。静岡、京都、徳島で約10年間、日本料理を学ぶ。29歳で地元・静岡に『春夏秋冬 花見小路』を開店。2003年に東京・銀座に移り『銀座 小十』をオープン。2011年、銀座五丁目並木通りに『銀座 奥田』をプロデュース。12年6月同ビルに『銀座 小十』を移転する。13年にフランス・パリ、17年にはニューヨークに『OKUDA』を開店。本物の日本料理を海外で提供するという挑戦を始める。近刊に、『日本料理は、なぜ世界から絶賛されるのか』(ポプラ社)、『献立にみる日本の節供と守破離のこころ 銀座小十の料理歳時記十二カ月』(誠文堂新光社)ほか。

聞き書き:瀬川 慧 / 撮影:大山裕平

造り昆布〆盛り——醤油とワサビを禁じ手にして、“刺身をデザイン”してみました

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[料理]造り昆布〆盛り(平目あん肝ポン酢、サヨリ黄身酢、金目鯛おろしちり酢、車エビ生この子、平貝梅肉、赤貝醤油洗い、イカ塩昆布和え、雲丹塩ワサビ)昆布だし梅ジュレ・柚子ジュレがけ
[うつわ] 鈴木大弓・作 三島丸皿

今年はお造りを醤油とワサビで薦める定番のカタチから、脱却してみようと考えました。言ってみれば「お刺身をデザインする」という感じです。昆布〆のお造り盛りは、お酒を飲みながらいただくのにもぴったりです。柳刃で切った鯛の刺身の美しさも大事ですが、豪快に“面”で捉えたお造りをコースのクライマックスにしてもいい気がしました。

2月に旬を迎える魚介のダイジェスト版といった感じで盛り合わせたのは、平目、金目鯛、イカ、赤貝、平貝、雲丹、車海老、サヨリの8種類。平目や金目鯛、イカはサクのまま、ほんのり昆布の香りを纏(まと)わせます。鮮度のいい、生で食べておいしい魚介ですから、あんまり〆すぎてもよくありません。軽く昆布の旨みがのったくらいがちょうどいいのです。

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