【レシピ付き】カニに頼らない、魅せるコース――三色丸 開き松茸のお椀&赤ムツ幽庵焼き 蒸し栗おろし
松茸もそろそろ終わり、いよいよカニのシーズンに入る11月。といっても、主役をカニだけに任せる、というのは『銀座 小十』の奥田 透さんの流儀にあらず。伊勢海老、赤ムツ、キンキに尾崎牛、天然鰻…と、今月の品書きにもご馳走が並びます。付き出しの一品目は「魳(カマス)炭火焼き 焼き松茸 イクラおろし」。現代作家の斬新なうつわに盛り込むことで、モダンさとクリエイティブな遊び心を表現。さらには新作の三色丸のお椀と、好評につきブラッシュアップした“蒸し栗おろし”をのせた焼物が登場します。
奥田 透(おくだ とおる):1969年、静岡県静岡市生まれ。静岡、京都、徳島で約10年間、日本料理を学ぶ。29歳で地元・静岡に『春夏秋冬 花見小路』を開店。2003年に東京・銀座に移り『銀座 小十』をオープン。2011年、銀座五丁目並木通りに『銀座 奥田』をプロデュース。12年6月同ビルに『銀座 小十』を移転する。13年にフランス・パリ、17年にはニューヨークに『OKUDA』を開店。本物の日本料理を海外で提供するという挑戦を始める。東京すし和食調理専門学校・教育顧問。近刊に、『日本料理は、なぜ世界から絶賛されるのか』(ポプラ社)、『献立にみる日本の節供と守破離のこころ 銀座小十の料理歳時記十二カ月』(誠文堂新光社)ほか。
三色丸 開き松茸のお椀——“3種の椀種を一口ずつ”という発想が斬新でしょう
[料理]三色丸(海老真丈、飛龍頭、蓮根餅) 開き松茸 三つ葉 酢橘
[うつわ]輪島塗 木ノ葉椀
一品目の料理は、岐阜の陶芸家・西岡 悠さん作の割山椒向付に盛ると決めていました。
めちゃくちゃ盛りにくいんですが、これ以上ないアート性を感じるうつわです。ありきたりの料理だとうつわに負けてしまいますから、カマスの炭火焼き、焼き松茸に、酢橘醤油で和えたホウレン草の軸で食感を添え、イクラおろしをのせた季節の和え物に。卵をイメージさせるこのうつわから‟何かが生まれる“イメージです。
続く「伊勢海老と雲丹の昆布〆 酢ゼリー掛け」は、一見すると岩石のような蓋物で供します。やはり現代作家のうつわで、内側の銀彩が印象的。ゼリーのキラキラ感が映えて、華やかな一品となります。
付き出しの後に供すのが、「三色丸 開き松茸のお椀」。一口大の海老真丈、飛龍頭(ひろうす)、蓮根餅を椀種にした、真上から俯瞰(ふかん)で見るお椀です。吸い地には、薄切りにした開き松茸と三ツ葉を加えてさっと炊き、香りを移しています。
毎日、カウンターでお客様がお椀を召し上がるのを見ていると、真丈を箸できれいに割れなくて、食べにくそうなんです。それがずっと気になっていました。で、考えたのが一口サイズで3種の味が楽しめるこのお椀です。
それぞれを椀種としたお椀はあっても、3色はないでしょう。真丈を崩すと、その味が吸い地に移って、濁ってしまうこともありますが、このお椀なら、純粋に吸い地の味を最後まで楽しんでいただけます。
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