和食のいろは

【レシピ付き】『味菜』の割烹料理 盛夏の野菜編

大阪・北新地の割烹料理店『味菜(あじさい)』の店主・坂本 晋(すすむ)さんから和食の基本調理を学ぶ本連載。今回は、7・8月の野菜の中からトマト・冬瓜(とうがん)・枝豆の3種の料理について教えていただきます。素材の持ち味を引き出す、シンプルで効果的な技は、すぐにでも取り入れられるものばかり。涼感あふれる仕立ても必見です。



坂本 晋(さかもと すすむ):岐阜県高山市出身。18歳から下呂温泉『吉泉館』で修業し、大阪・北新地の料亭『神田川』へ。割烹『味菜』を開店し、30余年が経つ。淀川や大阪湾の地魚に注力しながらも、全国各地から産地直送で旬の食材を取り寄せ、割烹料理に仕立てる。

文:阪口 香 / 撮影:東谷幸一

喉越しと青い香りが爽やかな「トマトとトロロの冷やし吸い物」

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料理に使うなら、昔ながらの“普通のトマト”が一番です。近年はハウス栽培や水耕栽培が盛んですが、露地で育てられたものの方が、酸味と青い香りがしっかりしています。近年出回っているフルーツトマトは甘みが強すぎて醤油やだしと合わせづらく、実は水分量も少ないんです。
    
露地もののトマトが手に入ったら、シンプルに酸味と青さを引き出し、盛夏は冷製仕立てにしてお出しするといいですね。うちの定番は、冷やし吸い物。トマトは潰して裏漉しし、すり下ろした大和芋と1:1で合わせて塩で味を決めます。喉越しがよく、爽やかな青い香りが鼻に抜けるので、食欲がない時にもぴったりです。

ポイントは、カツオ昆布だしで硬さを調整すること。トマトによって水分量が異なるので、トロロと合わせたなら味見をし、少しずつだしを加えて調整します。キンと冷やし、食感にジュンサイを添えて完成です。

【作り方】
① トマトはヘタを取り、湯引きして皮を剥く。フードプロセッサーにかけ、裏漉しする。

② 大和芋はすり鉢ですり、①と1:1の割合で合わせる。
③ カツオ昆布だしを加えて好みの硬さに調整し、塩で味を調えて冷やす。
④ 器に③を注ぎ入れ、ジュンサイをのせる。

「冬瓜まんじゅう」は、アレンジ自在!

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冬瓜は、四国なら高知や九州、沖縄など暖かい地域でよく栽培されています。沖縄では、ヘチマやゴーヤなどと同じように油炒めにして食べることもあるようですね。

油との相性もいいのですが、うちは茹でたり蒸したりして、だしの味を含ませる料理が多いです。冬瓜の大きさを生かして細長く切り、葛粉を打って茹でて氷水に落としたらツルッと喉越しのいい麺に。それを、そうめんつゆなどをかけてショウガ、薬味ネギをのせて食べると美味しいですし、冷やし吸い物の椀種、添え物として使うこともできます。また、角切りにして煮浸しのようにもできます。

見た目にも涼し気なのが、冬瓜まんじゅうですね。冬瓜で具材を包んで蒸し上げる料理ですが、きれいな翡翠色に仕上げるためには、可能な限り皮を薄く剥くことが大事です。また、皮側の表面が硬いので柔らかくするための工夫も必要ですね。

うちでは、表面に炭酸をすり込み、鹿の子状に庖丁で切り目を入れます。こうすると、茹でる時間が短縮できて、色も残りやすい。また、庖丁を入れることで冬瓜が曲がりやすくなり、丸く成形しやすいというのも利点ですね。

中に入れる具材は、食感がいいので今回はエビと百合根にしましたが、脂気のある豚や鶏などの肉類でもいいですね。例えば、甘辛く炊いたミンチや、皮だけ炙った鶏モモ肉、塩豚など。少し塩気を強めに塩梅した方がよく合いますよ。

【作り方】
① 冬瓜は約4㎝幅に切り、ワタを切り落とす。緑色を残すよう、皮を可能な限り薄く剥き、表面に鹿の子状の切り目を入れる。

② 切り目を入れた部分全体に粉末状の炭酸を摺り込む。
③ 沸騰した湯の中で約30分湯がき、皮側が柔らかくなったら水にさらして冷ます。
④ 鍋にカツオ昆布だし・みりん・塩・薄口醤油を合わせて熱し、③を柔らかくなるまで煮る。そのまま常温になるまで冷ます。
⑤ ④の皮側を下にして置き、スプーンで真ん中を軽く削ぎ取る。そこへ塩茹でしたエビ、水から茹でた百合根を入れてから冬瓜の削ぎ取った部分で蓋をし、さらしで茶巾絞りにして成形する。※ここまでを仕込んでおく。
⑥ 注文が入ったら、⑤のさらしを外し、蒸し器に入れて温める。
⑦ ④の煮汁を鍋に入れて火にかけ、水溶き葛粉でとろみをつけ、器に盛った⑥にかける。おろしショウガを天にのせる。

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凝縮した旨みを味わう、「枝豆のすり流し」

iro2657_2653eガラスの器に盛ることで、涼やかに。写真右のように、氷を張った器に梶の葉を敷き、すり流しを入れた器を並べるのも夏らしい演出。

大阪の枝豆と言えば、なんと言っても「八尾えだまめ」。粒が大きくて、甘みも強いのが特徴です。
優れた生産者も増えてきて、近場ですので新鮮なものを手に入れることができるのもメリットですね。枝豆は鮮度が重要なんですよ。
うちでは、『西野農園』のものを使っています。配送はなく、料理人が自ら取りに行くというシステムですので、その日に採れたものを使えます。

その旨みや甘みを堪能できるのが、すり流し。塩茹でした枝豆をフードプロセッサーにかけ、カツオ昆布だしと合わせた一品です。
ポイントは、塩茹でする際の塩はやや強めにし、茹でた後にも塩を振ること。それによって水臭くならず、枝豆の味わいが濃くなります。甘みの強い2種のトウモロコシのペーストと共に供すれば、夏らしい仕立てになりますよ。

【作り方】
① 枝豆は枝から外し、塩茹でする。

② 鍋から取り出した後に塩をふり、冷めたらサヤを外し、薄皮を取る。
③ フードプロセッサーにかけ、カツオ昆布だしと塩を加えてさらに混ぜ、器に入れて冷やしておく。
④ 黄色と白色のトウモロコシを塩茹でし、フードプロセッサーにかけ、冷やしておいたものを上にのせ、完成。

➡「辻󠄀調理師専門学校」日本料理主任教授を務めた畑 耕一郎先生と『味菜』坂本さんによる、7・8月の野菜の解説は、「【一覧表付き】盛夏の野菜」をご参照ください!

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