和食のいろは

【一覧表付き】初秋が旬の野菜

2022.09.06
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連載:和食のいろは

9・10月は、名残の夏野菜と出始めの秋野菜が混在する季節。小芋やレンコンなどの根菜類が店頭に並び始める時季です。そんな初秋の野菜を選ぶポイント、旨みや風味を生かした調理法を、「辻調理師専門学校」日本料理主任教授を務めた畑 耕一郎先生と、創業40年の北新地の名割烹『味菜(あじさい)』店主・坂本 晋さんに解説いただきます。旬の食材一覧表も付いてますので、献立を考える際などに、ぜひご活用ください。



畑 耕一郎(はた こういちろう):大阪生まれ。「辻調理師専門学校」理事・技術顧問。「大阪料理会」会長。TBS「料理天国」やABC「上沼恵美子のおしゃべりクッキング」など多くのTV番組に出演。『プロのためのわかりやすい日本料理』(柴田書店)など著書も多数。


坂本 晋(さかもと すすむ):岐阜県高山市出身。18歳から下呂温泉『吉泉館』で修業し、大阪・北新地の料亭『神田川』へ。割烹『味菜』を開店し、40年が経つ。淀川や大阪湾の地魚に注力しながらも、全国各地から産地直送で旬の食材を取り寄せ、割烹料理に仕立てる。

文:小林明子 / 料理制作:大阪・北新地『味菜』 / 撮影:東谷幸一

初秋が旬の野菜の特徴とは?

秋風を感じる頃になると、食物繊維やデンプンを多く含む根菜類が出回り始めます。しっかり蓄えられた甘み、ホクホクした食感が楽しめる根菜類には、夏バテを解消してくれるビタミン類が豊富に含まれます。食物繊維は、甘い物や冷たい物を食べすぎて乱れがちな腸内環境も整えてくれます。

葉物野菜は端境期となり、種類が少なくなる傾向にありますが、カボチャやニンジンなどのカラフルな根菜を効果的に使い、食欲をそそる献立を考えましょう。

初秋が旬の野菜一覧表

里で栽培されるから、里芋

山に自生する山芋に対して、里で栽培される芋だからその名で呼ばれるようになった里芋は、稲より先に日本に伝わったとも言われています。祭、月見、正月などのお供え物として使われることからも、私たちの暮らしに寄り添ってきたことが分かります。

ひと口に里芋と言っても様々な品種がありますが、親芋のまわりにできる子芋を食べる品種、親芋だけを食べる品種、どちらも食べる品種に分けることができます。

小芋だけを食べる代表品種は石川小芋。ヤツガシラ(八頭)はどちらも食べられる里芋の代表格です。

里芋(石川小芋)の選び方

皮がしっとり湿っているものが新鮮です。ふっくらと丸みがあり、表面にキズがない、ずっしりとした重みを感じるものを選びましょう。

蒸して良し、揚げて良し

関西の産地としては大阪・富田林が名高い石川小芋。直径3~5 cmの早生(わせ)品種で、9月初旬から市場に出回り始めます。

白く、ねっとりした食感が特徴で、調理法を選びません。

芋の味をシンプルに味わえるのは衣被(きぬかつぎ)。親芋にくっついていた部分を切り落として蒸します。酒や、少し塩を振りかけて蒸してもいいでしょう。皮の部分をつまんで少し押すとピュッと飛び出ることが特徴です。

「皮を剥いてひと口大に切った小芋を洗い米に加え、薄めに味をつけただしで炊いても美味しいです。細かく切った鶏肉や薄揚げを加えるとコクが出ますよ。ご飯を切り混ぜる時に芋がちょっとつぶれて絡みつく。これがたまらなく美味しいんです」(畑先生)。

「小芋を薄味で炊き、茹で玉子の黄身を空煎りしたものをのせる炒り玉汚しに仕立てると、ご馳走感が増します。また、炊いた小芋を裏濾しして、エビのすり身を包んで揚げることもありますよ」(坂本さん)。

里芋の炒り玉よごしと衣被
小芋の炒り玉よごし(右)と、衣被(きぬかつぎ)。炒り玉よごしは、蒸した小芋を少し濃いめの吸い地で炊き、乾炒りした茹で玉子の黄身を絡めている。

甘みや粘りが増す、レンコン

食用のレンコンは、美しい花を咲かせることでも知られる水生植物の肥大した地下茎です。穴が開いているため“先を見通しやすい”として、古くから縁起のいい食材とされてきました。ハスは世界中に分布していますが、食用に栽培しているのは日本、中国ぐらいのようです。

細長い在来種系統、肉厚で節が太く短い中国種系統に大別できますが、国内で流通しているレンコンはほとんどが中国種系統。主な産地は茨城県で、国内総生産の50%以上を占めます。2位に佐賀県、徳島県と続きます。

「レンコンは6月頃から収穫を始めますが、新レンコンと呼ばれるその頃のものはみずみずしくてさっぱりした味わいです。その後、泥の中に寝かせておくことで旨みが凝縮。秋が深まるほどに甘みや粘りが増していきます」(畑先生)。

レンコンの選び方

太くて重量感があり、皮にツヤがあるものを選びましょう。小さい(細い)レンコンはシャキシャキ感、太くなるほど粘りが楽しめます。真っ白ではなく、淡い黄色がレンコン本来の色。火を通すと紫色っぽくなるレンコンは、デンプン質が豊富です。

調理法によって、多彩な食感が引き出せる

焼く、炒める、炊く、揚げるなど、レンコンはどんな調理にも向く根菜です。

「調理の仕方で、シャキシャキやもっちり、ほっくりなど、食感が変わるのも魅力です。熊本名物のからし蓮根は刺激があって酒の肴にも向く美味しいものですが、保存食でもあるので辛さが強いものです。薄味で煮込んだレンコンに辛子、固茹で玉子の卵黄、白味噌を合わせたものを詰め、きな粉の衣をまとわせて油で揚げると、心地よい辛さ、もっちりのレンコンときな粉の香りがすばらしい一品になりました」(畑先生)。

「ウチでは、すりおろしたレンコンの水分を軽く絞って葛粉などで練ったものを、エビや大葉と共にスライスしたレンコンで挟んでフライにする一品が人気です」(坂本さん)。

レンコンのはさみ揚げ
輪切りのレンコンで、塩茹でした車エビと、大葉で包んだすり下ろしレンコンを挟んで揚げた「レンコンの挟み揚げ」。すり下ろしたレンコンのとろっとした食感が面白い。

小さくても栄養豊富な銀杏(ギンナン)

中国から渡来したイチョウの木に生(な)る、銀杏。実は強烈な匂いを放つ外層に包まれていますが、それを丁寧に取り除き、洗浄して出荷されています。

主な産地は総生産量の3割を占める愛知県。9月頃から収穫が始まります。デンプン、カロテン、ビタミンCなどの栄養素も豊富で、中国では咳止めの民間療法薬としても親しまれています。ただ、銀杏にはメチルビリドキシンという物質が含まれていて、食べ過ぎると中毒症状を起こします。解毒能力が低い幼児には注意が必要です。

少量で満足を得られる存在感

銀杏はふっくらとハリのある、なるべく大きな実を選びましょう。殻の色が白くなめらかで、重みを感じるものが上質です。

「一番の食べ方は煎り銀杏。殻を割って薄皮ごと塩と煎って皮を剥いて味わいます。小皿でちょっと出すだけで嬉しいものです」(畑先生)。

「天ぷら、素揚げにして翡翠色を生かすのも特別感があって良いですよね。軽い塩味をつけた銀杏をもち米と合わせ、飯蒸しにもしますよ」(坂本さん)。

煎り銀杏と銀杏の飯蒸し
左/銀杏は「たっぷりの粗塩で煎ると短時間で火が入りますよ」と坂本さん。右/銀杏の飯蒸し。煎り銀杏は風味と色が飛ばないよう、もち米を蒸し上げる少し前に加えることがコツ。

皮にこそ風味と栄養がある、ゴボウ

アジア・ヨーロッパ原産。薬草として伝わったとされるゴボウを品種改良し、食用にしているのは日本だけだと言われています。

ゴボウは、長根種と短根種に大別することができます。土を深く耕す関東では、滝野川ゴボウのような細くて長い長根種が主流。一方、あまり深く耕さない関西では、太くて短い堀川ごぼうのような短根種が主流になっています。いずれも10月頃から収穫が始まります。

ゴボウの風味を生かすために

洗ったものより、土付きの方が日持ちします。細かいひげ根が少なく、先の方までしっかり太いゴボウを選びましょう。

また、一昔前まではゴボウの皮は庖丁の峰(みね)などでゴシゴシこすることが多く見受けられましたが、皮の部分に栄養や旨みが多く含まれていることが分かった昨今、それはご法度。柔らかいスポンジなどで優しく土を落とすだけで十分です。「少し前の料理本には、ゴボウはすぐに黒く変色するので、ささがきする端から酢水にさらすべしと書かれているかもしれませんが、それも不要。旨みと栄養素がすべて流れてしまうので、サッと水洗いする程度に留めます」(畑先生)。

「ゴボウは油と合います。薄揚げと共に炊き込むご飯、天ぷら、きんぴらなどが好例です。川魚の生臭さを消してくれる役割もあるので、どじょう鍋には欠かせません。肉じゃが、筑前煮にも欠かせない名脇役です」(坂本さん)。

➡ご紹介した料理のレシピは、「『味菜』の割烹料理 初秋の野菜編」で配信。店主・坂本 晋さんの調理指南にご注目を!

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