京都『ひがしやま 司』3月の献立の立て方【Vol.1】コース設計の思考
季節の食材と向き合い、その魅力をどう最大化するか。京都・東山に店を構える『ひがしやま 司』の宮下 司さんが献立を組み立てる際、起点となるのはその月の“推し食材”です。素材の持ち味を真っ直ぐに伝える一皿もあれば、意外性のある技法や組合せで新たな表情を引き出す一皿も。自身の感性というフィルターを通し、旬に輪郭を与えていく。緻密に構成されたコースの裏側にある思考を紐解きます。
宮下 司さん:1985年三重県生まれ。幼少期より料理に親しみ、高校卒業後は「辻󠄀調理師専門学校」へ。卒業後、京都『祇園 丸山』では常に学び続ける姿勢と研ぎ澄まされた美意識を培い、『祇園さゝ木』では“攻め”の料理とお客を楽しませる対話力を学んだ。16年にわたる研鑽を経て、2021年11月に独立。開業直後から満席が続く予約困難店となる。現在は通常営業に加え、コラボレーションイベントや料理教室、行楽弁当の販売(※夏季を除く)などにも意欲的に取り組み、お客を楽しませながら自身の表現の幅を広げている。
「旬の“推し食材”の新たな表情を見せたい」
「第一に考えるのは、“推し食材”をどう召し上がっていただくか。自分のフィルターを通した料理で、食材の新たな一面を感じていただけたら嬉しいです」。献立を立てる際の大きなテーマを、宮下さんはそう語る。
3月なら貝類。時にストレートに、時に遊び心を加え、その魅力を引き出す。
ハマグリは、だしを一番だしで割った椀物で登場。椀種は自家製豆腐のみという潔い構成で、澄んだ旨みを真っ直ぐに伝える。造りの二品目では、低温調理した身を中華仕立ての一皿に。紹興酒の香りをまとわせることで貝特有のクセを和らげ、苦手意識のある人でも楽しめる味わいへと昇華させる。
上巳の節句に合わせてハマグリを用いるのか、との問いには、「いや、ホンマに自分が好きやからです(笑)。節句の表現は、庭や床の間、お軸、お花など、空間が整ってこそ意味があると思うので」と返す。
房総半島から届く、身厚で旨み豊かなハマグリ。3月の献立を象徴する、確かな主役だ。

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