東京『伯雲』9月の献立の立て方【後編】料理内容
料理を理想の状態に仕上げるには、どのような工程が必要か。この問いを常に頭の隅に置いて緻密に技術をブラッシュアップし続けるのが、『伯雲』の主人、坂本慎吾さんのあり方です。後編で紹介する9月の献立を構成する料理にもその姿勢が貫かれています。なお9月と10月はマツタケを主軸に据え、コース内に4〜5品マツタケの料理が登場しますが、季節が進むごとにその内容は変わります。今回は、9月初旬の献立を紹介します。
坂本慎吾さん:1983年、東京都生まれ。子供の頃から日本料理に興味を持ち、辻󠄀調理師専門学校に進学。2007年より『日本料理 龍吟』に入り経験を重ねる。2016年に同店の料理長に就任。2021年1月、南青山に『伯雲』を独立開業。同年秋発表の『ミシュランガイド東京2022』で一つ星、2025年 9月に二つ星獲得。
素材に技術を込めて、理想の状態を作る
料理を考える出発点は、「こういうのがあったらいいな」という自分が考える理想の“状態”であると話す坂本さん。「魚であれば、パリッとした皮、ふっくらした身の両立。肉であれば、サクッとした歯応えと噛み締めるおいしさ。マツタケなら生のシャキシャキしたみずみずしさと火の入ったしなやかさのバランス。素材にどんな技術を込めると目指す状態になるかを、とことん考えて料理を作りたい」と話す。
こうした考えゆえ、坂本さんの料理では、見た目の華やかさは少なくとも、口にした時に驚きがある。前編でも紹介した「鰹の塩たたき」や、「甘鯛の炭火焼き」「牛ハラミの炭火焼き」ではそれが特に顕著で、シンプルな料理名からは想像できない技術と手間がかかっている。
「お客様の口に入った瞬間、素材自身に語らせたいのです」と坂本さんが話す料理の数々を、9月の献立を例に見ていく。
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