新神戸『但』、昼の「甘味コース」の献立の立て方【前編】コース設計の思考
「甘いもん」と「しょっぱいもん」で組み立てる、独創的な「甘味(かんみ)コース」が人気を集める新神戸の『但(たん)』。主役は、果物を多彩に生かした4~5品の甘味。そこに、食欲をそそる牛丼や季節のすり流しなどを織り交ぜ、甘味と料理を行き来する心躍る展開を描きます。今年8月の主役はモモ。その魅力を最大限に引き出すため、どんな甘味を考え、料理とどう組み合わせるのか。店主・足立純哉さんに、コース設計の思考を伺いました。
足立純哉さん:1977年、兵庫県豊岡市生まれ。30歳で料理の世界へ入り、11年修業。神戸の名割烹『玄斎』や肉割烹で経験を積み、2018年6月に独立した。夜のコースは旬食材を贅沢に使い、最後には肉料理と兵庫県養父市の希少米「いのちの壱」の炊き立て、さらに目の前で作るかき氷とわらび餅を提供。締めまでこだわる姿勢が支持されている。昼は、完全予約制で「甘味コース」または「引き立てのお出汁と炊き立てご飯とそのお供」を提供する。
お客の声をキャッチし、店のかたちを変え続ける
2018年に開店してから現在に至るまで、足立さんは営業スタイルを幾度となく変えてきた。
昼はコース、夜はアラカルト。その後、昼夜共にコースへ。さらに、昼はかき氷とわらび餅を提供する甘味処、そして2022年11月、現在の「甘味コース」のスタイルへとたどり着いた。
今年3月からは、一口のご飯と約15種類のそのお供を味わう「引き立てのお出汁と炊き立てご飯とそのお供」をスタート。7月には、板前の框(かまち)を低く改装し、よりライブ感を楽しめるようになった。
「常にお客さまの声やニーズを拾っています」と、足立さん。その背景には、新神戸の土地柄が関係しているという。「この辺りは市場(しじょう)が大きくありません。地元の方に何度も来ていただきたいからこそ、同じことを続けていてはダメなんです。『なんか面白そうなことやってんな』って思ってもらえるよう、変わり続ける必要があるんです」。
そうして新しいスタイルに挑戦し、お客からの「こんなん食べたい」という声もどんどん拾って反映していく。それにより、技術や引き出しが増えていく。
店づくりも、献立づくりも、お客との対話の積み重ね。その姿勢が、『但』ならではのコースを形づくっている。
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