東京『蓮 三四七』10月の献立の立て方【前編】コース設計の思考
『蓮 三四七(れん みしな)』は、銀座の一角にひっそりと軒を構える日本料理店。店主の三科(みしな) 純さんは『神楽坂 石かわ』で働いたのち、姉妹店である『虎白』と『蓮』の立ち上げに相次いで携わった料理人です。今は店名も『蓮 三四七』に改めたこの店で、日々スタッフを統率しながらカウンターに立ちます。食材の本質を追求し、繊細かつシンプルに料理を仕立てる三科さんの姿勢は、固定概念にとらわれない献立の組み方にも表れているようです。
三科 純さん:1983年、神奈川県生まれ。『神楽坂 石かわ』で修業を重ね、2008年、姉妹店である神楽坂『虎白』の立ち上げに参加。翌年、同地にオープンしたグループの新店『蓮』のメンバーとなる。のちに『蓮』の店主となり、店名も『蓮 三四七』に。2018年に銀座に移転。『ミシュランガイド東京』で2012年から連続で二つ星、一つ星を獲得。
季節の主役をたっぷり味わってもらう
三科さんが料理で大切にしているのは、季節の食材を強く感じてもらうこと。秋のマツタケ、冬のカニ、春のタケノコやハマグリ、夏のアユ。その時季に最も味わいを高める素材は、表情を変えながら何度も献立に組み込む。
「タケノコの時期だったら『ああ、今日はタケノコを食べたなあ……』、アユの時期だったら『今日は本当にアユを食べた!』という印象を持っていただきたいんです」。
10月であれば、主役はもちろんマツタケだ。焼きマツタケ、お椀、炭火で焼いた牛ヒレ肉にマツタケの餡をかけた一品、マツタケご飯という具合に、マツタケが繰り返し登場する。11月からは次第にカニへ。冬にはフグを中心に、造り、焼き物、揚げ物、鍋などでコースを組む。
出始めの、つぼみのマツタケ。「この時期は、繊細な風味を丁寧に引き出し、生かすよう考えます」と三科さん。
一方で、際立った主役のない時期は、新しい食材や料理をさまざまに試す。この夏のお盆明けからの献立では、揚げたフカヒレに餡をかけた一品や、ヒマワリの新芽を取り入れた品を考案した。
「普段は飾りのスプラウトにあまり関心がないのですが、味見をしたらナッツのような風味があって、これは使う意味があると思ったのです」。夏の終わりに提供すると、名残の情緒と重なる。こうした料理は、お客には「自分が楽しいから作っている」と説明するそうだ。
極限までシンプル、というのが三科さんの料理における基本的な考え方だが、コースの中で1〜2品は遊びのある料理も入れる。
といっても奇抜なものではなく、たとえば晩夏から秋にかけて、骨切りしたハモを丸く成形して揚げる料理を提供。中に旨みのジュースを閉じ込めつつフワリと仕上げており、「こんなハモは食べたことがない」と好評だ。要素は最小限だが面白さがあり、他の料理となじみながらアクセントになる。
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