【レシピ付き】ゴッコの椀物と南蛮漬——『慶喜』石橋慶喜さん作
北新地で日本料理店『慶喜(よしのぶ)』を営む石橋慶喜(けいき)さんは、北海道の函館出身。冬から春先までは、ゴッコ汁が地元の風物詩だと言います。フグのような真ん丸の魚体は、コラーゲンたっぷりのプルプルした食感。だしは深い味わいが楽しめます。「美味しい魚なのに、大阪ではまだ知名度が低いので、これを機に知ってもらいたい」と、今回は汁物と南蛮漬の2品を発表。卵や肝、白子などの部位に、それぞれの持ち味を引き出す最適な調理を施す石橋さんの仕事に、多くの会員が関心を寄せていました。
※大阪料理会 公式サイトhttps://osakaryourikai.com/
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石橋慶喜さん(大阪・北新地|『慶喜』店主)
1962年、北海道・函館生まれ。20代後半から北新地で修業を始め、2002年に独立。「作れるものは手作りすべし」という師匠の教えを守り、クジラベーコンや利休麩も自家製。アンコールペッパーやオリーブ油の玉「オロバイレン」などを取り入れる進取の気性にも富む。大阪料理会では、驚くほど手間をかけた料理を発表することも多々。常に会員の興味をそそる存在だ。
「ゴッコと春キャベツの汁」は、故郷・函館の郷土料理ゴッコ汁を料理屋風に仕立てた一品です
ゴッコは、体長30~40㎝くらいの大型種。フグのようにぷっくりとした姿で、コラーゲンをたっぷり含んでいて、表面はぬるっとしています。丸々と太った姿が七福神の布袋様に似ていることから、布袋魚(ホテイウオ)というのが正式名だそうです。
裏返すと、大きな吸盤が付いています。この吸盤で岩肌などにくっついて、流されないようにしていると聞いたことがあります。捨ててしまう人も多いのですが、食感があって美味しい部位なので、醤油焼きにするといいですよ。
北海道だけでなく、青森から島根までの日本海沿岸にも生息していると聞きますが、漁が行われるのは道南と東北の一部くらいでしょうね。産卵期の12~4月初旬までが漁のシーズンです。
魚体が大きい割には、あまり身がないので、函館ではぶつ切りにしてゴッコ汁にするのが定番。醤油味か味噌味で、大根やジャガイモなんかとごった煮にします。地元では軟骨が柔らかくなるまで煮るのですが、それだとちょっと食べにくいので。身をほぐしたり、軟骨を丁寧に取り除いたりして、ロールキャベツ風の椀種としました。
吸い地のだしは、ゴッコの身を4時間ほど煮出したもの。なかなか旨みの深いだしが取れるんですよ。
メスの腹にはたっぷりと卵が入っているので、ゴッコ汁にはこの卵も加えます。捨てるところがない魚なので、肝も白子も、胃袋なんかも一緒に煮て食べるんですよ。
特に肝が旨いので、料理屋らしく塩蒸しにして添えました。新鮮であればそのままさっと蒸したらいいのですが、大阪に届くまでに2日くらいかかっているので、しっかり血抜きしています。
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