大阪料理会

【レシピ付き】柏寿司と粽&丸茄子揚げびたし ごぼうすり流し——『旬菜 山﨑』山﨑浩史さん作

実は4月末に開催予定だった今回の大阪料理会。直前にGW明けに変更になり、吹田の『旬菜 山﨑』店主の山﨑浩史さんは、大阪くろ菜をテーマにするはずが、急遽、料理を変更したそうです。「大阪くろ菜の和え物三種を予定していたのですが、春の収穫が終わってしまって…。そこで干して冷凍保存したものをシャリに混ぜ込んで、五月らしい寿司を作りました」。急ごしらえなので…と謙遜する山﨑さんでしたが、会員には意外や好評。5月に提供しているコースのお椀「ゴボウのすり流し」にも注目が集まりました。


※大阪料理会 公式サイトhttps://osakaryourikai.com/

聞き書き:中本由美子 / 撮影:竹中稔彦
山﨑浩史さん(大阪・吹田|『旬菜 山﨑』店主)

1968年、大阪生まれ。辻󠄀調理師専門学校を卒業後、大阪の老舗料亭『紬』『芝苑』などで修業。28歳で独立し、地元・吹田に『旬菜 山﨑 佐井寺店』を開店。2009年、竹谷店もオープンする。五節句などの日本古来の季節感を大切にしながら、北摂の日本料理店らしい洗練された会席を仕立てる。

ハマグリの棒寿司を柏の葉で巻き、桜マスの粽寿司と。シャリには大阪くろ菜を忍ばせています

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大阪くろ菜は、その名の通り、大阪が原産の小松菜に似た野菜です。本来は秋から種を蒔き、主として冬場に収穫するそうです。昭和20年頃までは住吉や西成エリアで多く栽培されていたと聞きましたが、今ではほとんど見ることがなくなってしまいました。

近年、大阪くろ菜を復活させようという動きがあると聞いて、今回、春蒔きのものを使った和え物を提案しようと考えていました。茎は陰干しして昆布〆し、葉を和え衣にしようかな、と試作をしていたのですが、急遽、大阪料理会の日程が変更になり、葉の方は保存が難しくなりました。

茎は2~3日陰干しにし、昆布、柚子皮と共にたて塩に浸した状態で真空保存したのですが、和え物としてお出しするには食感が弱かったので、刻んでシャリに入れたらどうか?と考えたのが、この2つの寿司です。

粽の方は、旬の桜マスを主役にしています。柏の葉で巻いた方は、煮ハマグリと共に海苔巻きに。大阪くろ菜の歯ざわりを少しでも生かそうと、真空にしたものをぎゅっと絞って水気をしっかりと抜き、シャリに合わせています。

今年は秋に種を蒔くと聞いたので、新鮮なものが手に入ったら、今度は和え物を作って、青々しい風味や濃緑の色、歯ざわりなどをお客様に楽しんでいただきたいと思っています。

osa0015-2c「干してから真空保存したことで、大阪くろ菜が独特の食感になっていて面白い。シャリのアクセントとして逆にアリなのでは?」とのベテラン会員の意見に、山﨑さん(左)は安堵の表情。「海苔の代わりに、葉で巻くといいのでは?」というアドバイスには、「せひやってみます」と笑顔を見せた。

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