大阪料理会

【レシピ付き】岩魚づくし——『心根』片山 城さん作

高槻市の山間にある『心根』の店主・片山 城(きずく)さんは、今年から大阪料理会に参加し始めたニューフェイス。初の担当とあって、緊張気味の発表となりました。“入梅の頃”というテーマから、選んだ食材は山の日本料理店らしく岩魚(イワナ)。名残の山菜と和えた昆布〆、3種の干物と、岩魚味噌を使った豆ごはんの朴葉蒸しを披露しました。入魂の岩魚づくしに、会員たちは感心しきり。山で摘んだという朴葉の香りの良さに、ベテラン会員も瞠目していました。


※大阪料理会 公式サイトhttps://osakaryourikai.com/

聞き書き:中本由美子 / 撮影:福本 旭
片山 城さん(大阪・高槻|『心根』店主)

1975年、大阪府交野(かたの)市生まれ。高校時代に「旅館をやりたい!」という夢を持ち、大学で法学を学ぶ。法律事務所に1年務めた後、「料理ができなアカン」と、『魚匠 銀平』など居酒屋や魚料理店で約10年修業を積み、2009年に枚方に『心根』を開店。そして2018年に大英断。高槻駅から車で30分の山間部に移転、古民家を改装し、リスタート。地元の山の幸を主とした“鄙(ひな)のもてなし”で人気を博す。

葉ワサビ醤油漬やワラビの酢の物など、多彩な味を重ねた「岩魚の昆布〆 名残の山菜和え」です

osa0016-3b

この時季、多くの和食店で焼物に鮎をお出しすると思いますが、うちは山間部の古民家ですので、ちょっと都会のもてなしとは違ったものを、と岩魚をお楽しみいただいています。

岩魚は川の水温が上がってくると、脂がのって旨みも増していきます。特に1㎏を超えるような大物は、生でお出ししても美味しいので、今回は昆布〆にしました。
とはいえ、淡泊で繊細な旨みの川魚なので、真昆布ではちょっと風味が強すぎるかな、と。それで、白板昆布を使っています。

地物の山ウドやワラビなどもそろそろ終わりの季節。その名残の山菜と岩魚の昆布〆を和えて仕上げました。葉ワサビは醤油漬、ワラビは土佐酢に浸しているので、味付けは淡口醤油のみ。まとめ役という感じです。

木の芽や、あしらいに使ったアサツキの花は、近くに自生しているもの。木の芽はこの時季、かなり大きくなっているので、軸を取り、葉だけを叩いて使います。

手前に添えたジャガイモは、桂剥きにしてから輪切りし、素揚げしました。岩魚が主役の一皿なので、水紋(水面に起こる波紋)を表現したいなと、渦巻きの形に。揚げたてを盛って、バリバリと割って混ぜ合わせ、食感のアクセントにしていただけたらと思います。

osa0016-3c“山間にある日本料理店”という強みを前面に打ち出した料理の提案に、ベテラン会員から「日本の初夏の景色が表現できている」「山の日本料理という世界観がしっかり伝わってきた」と高評価を得て、片山さん(左)はホッとした様子。アサツキの花(右)や次の料理に使う朴葉など、近くに自生している食材を持参し、会員の興味を誘っていた。

この記事は会員限定記事です。

月額990円(税込)で限定記事が読み放題。
今なら初回30日間無料。

残り:1807文字/全文:2786文字
会員登録して全文を読む ログインして全文を読む

フォローして最新情報をチェック!

Instagram Twitter Facebook YouTube

この連載の他の記事大阪料理会

無料記事

Free Article

おすすめテーマ

PrevNext

#人気のタグ

Page Top
会員限定記事が読み放題!

月額990円(税込)初回30日間無料。
※決済情報のご登録が必要です