大阪料理会

【レシピ付き】ヴィーガン料理「三色野菜とテンペの湯葉揚げ ベジあんかけ」——『旬鮮和楽 さな井』長内敬之さん作

9月末に開催された138回目の大阪料理のテーマは、ヴィーガン料理。アフターコロナでインバウンドが増えた昨今、和食店では大きな課題の一つになっています。カツオだしを筆頭に、魚介も肉も卵も使えないという制約の中、東心斎橋の割烹『旬鮮和楽 さな井』さんが取り入れた素材は、代替肉としても注目を集めるインドネシア発祥の大豆発酵食品・テンペ。コク深い野菜だしを合わせ、満足度の高い一品を仕立てました。


※大阪料理会 公式サイトhttps://osakaryourikai.com/

聞き書き:中本由美子 / 撮影:福本 旭
長内敬之さん(大阪・東心斎橋|『旬鮮和楽 さな井』店主)

1964年、福井県生まれ。京都や大阪の名店などで料理長を務めた師匠の下、新地の割烹『七生(ななお)』(閉店)にて修業。2005年、独立。チャレンジングな発想で魅せる割烹仕事に、確かな技術が息づいている。ユーモラスなトークも持ち味。「大阪料理会」運営委員。

大豆の発酵食品・テンペを野菜と寄せて揚げ物に。濃厚野菜だしのあんをかけました

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うちでは、まだ十分対応できていないのですが、「ヴィーガン料理できますか?」というお問い合わせが増えています。カツオだしも、魚介も用いずに、満足度の高いコースを仕立てるのは、至難の技です。

そこで今回は、ベジタリアンが代替肉として食べているテンペで一品を作ってみました。大豆の発酵食品とあって、納豆をイメージする人も多いですが、塩を使わず、テンペ菌で発酵させているので、独特の匂いや粘りは少ない。柔らかくて、腹持ちもいい食材です。

逆に味わいにインパクトがないので、今回は太白ゴマ油で炒め、淡口醤油と砂糖でキンピラのように味を付けました。これを、パプリカ・三度豆と共に野菜だしで寄せ、湯葉で包んで揚げました。

最近は、うちでも野菜だしを常備しています。白菜・キャベツと香味野菜をベースに、キノコの石づきとか、大根・ショウガ・枝豆の皮など、その時々である切れ端も使います。トウモロコシの粒を取った後の芯なんかも入れると美味しくなりますね。

必須なのは、旨みが高いトマト。グルタミン酸が豊富なので、昆布だしの代わりになればと思っています。昨今、昆布もカツオ節も高いですよね。ヴィーガン対応だけでなく、これからの和食店は野菜だしを併用する必要があると感じています。

とはいえ、野菜だしはやはり旨みが弱いでしょう。焦がし気味に火を入れるとコクが出ると聞いたので、中火で7割まで煮詰めました。さらに、アクセントとして黄ニラの香味を利かせ、パプリカの切れ端もピューレにして加えています。

ヴィーガンは、肉・魚だけでなく、ハチミツやミルクなど動物から搾取した食材もダメだそうです。ですから今回の寄せものは、動物のコラーゲンから作るゼラチンではなく、海藻由来の粉寒天を使いました。

osa0020-1c右が、「コクが深く、物足りなさがなかった!」「トマトの酸味がほどよかった」と好評だった、野菜だし。以前、代替肉(大豆ミート)の料理を発表した料理研究家の広里貴子さんは、「テンペは濃い味を付けた方がよく、醤油漬けにすると肉の代わりになります」と助言。畑 耕一郎会長からは、「オクラのだしが美味しく、注目している」という意見も。

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