【レシピ付き】新しい鱧料理vol.2驚きの酢〆効果!「骨溶け鱧寿司三種」
7月の大阪は祭り月。「麦藁(むぎわら)ダコに祭り鱧」と言われるこの時季のご馳走に、鱧の照焼きの棒寿司があります。法善寺横丁の『浪速割烹 㐂川(きがわ)』店主・上野 修さんは、これを生の鱧で仕立てました。骨切りをせずに酢〆し、「酸の力で小骨を溶かします」という斬新な手法に、会員は唖然。米酢・リンゴ酢・黒酢を使って、シャリもそれぞれ工夫した三種三様の棒寿司。鱧の酸味が鮮烈なため、甘酸っぱいガリの代わりに添えた「真子の塩辛かぶら和え」のレシピも合わせてお届けします。
※大阪料理会 公式サイトhttps://osakaryourikai.com/
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上野 修さん(大阪・法善寺横丁|『浪速割烹 㐂川』店主)
1961年、大阪生まれ。19歳で『㐂川』に入店後、『志摩観光ホテル』のメインダイニング『ラ・メール』へ。総料理長・高橋忠之氏にフランス料理を学ぶ。1994年、『㐂川』二代目に。西洋料理の技術や発想、食材を柔軟に取り入れて仕立てる洗練された大阪好みの料理が持ち味。「大阪料理会」運営委員長。
『浪速割烹 㐂川』上野 修さん作
骨溶け鱧寿司三種
以前、元酢という合わせ酢にコノシロを3~4日漬け、さらに寿司飯とヨーグルトに一晩漬けて、鮒(フナ)ずしのように仕立てた「鮗の元酢〆ヨーグルト寿司」を発表させてもらいました。
小骨を残したまま漬けたのですが、歯にまったく当たらなかった。この時、酸の力で骨が溶けることを知ったので、今回はこれを鱧で応用しました。
鱧を骨切りせずに4日酢〆する
三枚におろした鱧は、骨切りせず、鱧だしを使った合わせ酢に4日間漬けます。2日目に酢を見ると濁っていたので、新しい合わせ酢に替えました。
試食してみると、骨が完全に溶けていて、自分でもビックリ! ただ…、身が酢を吸いすぎて、ちょっとブヨブヨになってしまったので、ペーパータオルで包んで一晩おき、吸水して酢をほどよく抜いています。
焼物にしたら身の弾力がまったくなく、ちょっとボソッとした食感になったので、思い切って生のまま食べていただこうと。せっかくなので、定番の米酢だけでなく、リンゴ酢、黒酢も使って、3種の酢〆にしました。
鱧だしを使った合わせ酢の酢の種類を変えて、それぞれ鱧を酢〆した。上から、米酢〆、リンゴ酢〆、黒酢〆。
鱧の酢〆に合わせ、シャリも3種に
米酢を使った合わせ酢で酢〆した鱧を和風とすると、リンゴ酢は洋風、黒酢は中華風のテイストになります。そこで、それぞれに合うシャリで棒寿司にし、食べ比べを楽しんでもらおうと考えました。
和風には麻の実を合わせ、洋風にはディル。中華風にはゴマを合わせています。さらに、棒寿司にした後、実山椒オイル、燻製オイル、香味野菜オイルをかけました。
鱧の皮を引いて酢〆にしているので、この皮も活用せねばと、和風には醤油ダレでつけ焼き、洋風は湯引きして、それぞれ刻んでシャリに混ぜました。中華風には素揚げしてあしらいに使っています。
真子は酒盗にして、ガリの代わりに
鱧の酢〆がかなり酸っぱいので、ガリのような酸味のあるものを添えなくてもいいなと思って、余った鱧の真子(卵)で酒盗を作りました。
真子はしっかりと塩をして一晩おきます。味を見て、塩が少なければ塩を足し、爪昆布と共に酒に一晩漬けたら完成です。
鱧の浮き袋も使い切ろうと、さっと茹でて細かく切り、塩もみした越瓜(しろうり)と合わせ、真子の酒盗で和えました。まとまりがほしかったので、皮付きのまますりおろした夏カブラも加え、淡口醤油で味を調えています。
骨切りの跡がない、つるんとなめらかな生の鱧は、ビジュアル的にもインパクト大。「酸で鱧の骨を溶かす方法が目からウロコでした」と、多くの会員が驚きと共に感心していた。「小鉢の真子の酒盗が上品で抜群に旨い」「酢〆の鱧で金沢の郷土料理のかぶら寿司を作ってもよさそう」というコメントも。
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