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【レシピ付き】和食に馴染むスパイス Vol.1パッションペッパー&馬告(マーガオ)

大阪・西天満で『西天満 中村』を営む中村明美さんがコース中盤で供する八寸は、季節感溢れるビジュアルに加えて、“少し面白くて美味しい”がテーマ。その面白さへのアプローチを日々模索する中で思い付いたのが、近年、和食店での使用が目立つスパイスの導入でした。「けれど、あまりに未知の分野で…」。
扉を叩いた先は、イタリア料理をベースにしながらも型にとらわれず、印象的なスパイス使いに定評のあるリストランテ、大阪・北浜の『ABITACOLO(アビタコロ)』。
インド料理や中国料理とは異なる、店主・植松将太さんならではのスパイス選びとその使い方を、前菜とデザートの2品を通して教えていただきます。

文:川島美保 / 撮影:東谷幸一 
植松将太さん(『ABITACOLO(アビタコロ)』店主)

1984年大阪生まれ。幼い頃から料理人を志し、専門学校卒業後に大阪『イタリア料理OPIUM(オピューム)』『la ballotta(ラ・バッロッタ)※移転し,virgola(ヴィルゴラ)に』など個性的なイタリア料理店で基礎を学ぶ。その後、梅田の『il desiderio ORTAGGIO(イル デジデリオ オルタッジョ)』のシェフを務めるほか、メニュー開発やブランディングの経験も重ね、2018年5月に独立。故郷、南大阪・河南町(かなんちょう)の野菜にスパイスやハーブを巧みに組み合わせた、繊細で美しいイタリア料理で人気を集める。

中村明美さん(『西天満 中村』店主)

1974年福岡生まれ。調理師学校卒業後、『京懐石 和光菴 ※閉店』『懐石 本多(ほんだ)』『割烹まつもと』など大阪の名店で和食ひと筋に腕を磨き、2016年に独立。利尻昆布のきれいな旨みをたたえた甘鯛の椀物のような正統派を主軸に、ホワイトアスパラの松の実揚げなど洒脱な逸品を適度に織り交ぜた、緩急あるコースを展開している。

“優しい”スパイス使い

中村明美(以下:中村)
植松さんのお料理をいただいたのはつい最近なのですが、インド料理や中国料理とは印象が異なる優しいスパイス使いに「これなら和食にも違和感なく活用できそう」と、強く惹かれました。
植松将太(以下:植松)
そこは僕がスパイスを選ぶ上で特に意識している点ですね。クミンやコリアンダー、ターメリックのような有名すぎるスパイスは、あえて避けています。個性が強すぎたり、カレーを連想させたりするスパイスを使うと、そのイメージに味覚が引っ張られてしまう。それが嫌で、僕が好むスパイスは主張しすぎない軽快さがあって、マイナーなものが多いですね。
中村:
そうなんです! 具体的には分からないけれど、確かにスパイス感はあって、食材を引き立て、深みを生む役割を見事に果たしている。
そのさりげなさと謎めいた美味しさが素敵だな、和食にスッと馴染みそうだなと。
植松:
ありがとうございます。
今回は特に僕が愛用している3つのスパイスを使って前菜とデザートの2品をお作りしますね。

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