日本料理のことば

【レシピ付き】吹き寄せ 焼き物八寸 Vol.1

風に吹き寄せられ、紅葉や木の実が庭の一角に集まったかのような、秋の風情。「辻󠄀調理師専門学校」岡本健二先生が仕立てた「吹き寄せ」は、料理の色合いや形、かいしきの取合せにより、季節の移ろいの中に感じる哀愁や“枯れ”の美意識も感じさせます。今回、盛り込んだ料理は10品。3回に分けて、レシピを公開します。

聞き書き:阪口 香 / 料理制作:「辻󠄀調理師専門学校」岡本健二
撮影:東谷幸一 / 協力:辻󠄀調理師専門学校

目次


秋の景色を表現する「吹き寄せ」

料理屋では八寸の位置づけで提供することが多い「吹き寄せ」。秋風によって枯れ葉や木の実が集積した風景を表現しますので、ある程度の品数を盛り込み、かいしきもさまざまな色合いのものを使います。配置や配色にも気を配って盛り込むことが肝要で、日本の“枯れ”の美意識が感じられるといいですね。

今回は、カマスを巻いてキノコ味噌を詰めた俵焼きを主役に、茅葺屋根の田舎家や柿の形を模した珍味入れにガザミの菊花ゼリー酢がけや果物の白和えを入れ、モミジに象ったサツマイモの蜜煮、鬼皮の一部を割った塩煎りギンナンなど、さまざまな趣向の料理を10品仕立てました。

盛る際には、籠に松葉を敷き詰め、少し焼き色を付けた杉板や萩垣の上にのせたり、さまざまな色合いの葉を散らしたり。今回使ったのは、カエデ、柿、イチョウ、栗の葉です。

メインとなる料理を作らずに酒の肴や小さな料理をたくさん盛るのもいいです。大切なのは、食べ手の心に秋の景色が映ることです。

吹き寄せ料理は、中央手前にカマス俵焼き、イカ黄金焼き、丸十蜜煮、ムカゴ松葉刺し。茅葺屋根の田舎家の珍味入れには、ガザミと利休麩とおかわかめの黄身酢・菊花ゼリー酢がけ。その上の萩垣の左から、塩煎り銀杏、合鴨蒸し煮、サンマ棒寿司 ワタ醤油、里芋ケシの実揚げ。柿の珍味入れには秋の果実 白地がけが入っている。

Vol.1では、「ガザミ 利休麩 おかわかめの黄身酢・菊花ゼリー酢がけ」と「合鴨蒸し煮」、「里芋ケシの実揚げ」、「丸十蜜煮」、「ムカゴ松葉刺し」、「塩煎り銀杏」のレシピをご紹介。Vol.2では「サンマ棒寿司 ワタ醤油」と「イカ黄金焼き」、Vol.3では「カマス俵焼き」と「秋の果実 白地がけ」を調理工程と共にお届けします。

▼「吹き寄せ」の言葉のはなしはコチラ
▼「吹き寄せ」の「サンマの棒寿司」と「イカ黄金焼き」のレシピはコチラ
▼「吹き寄せ」の「カマス俵焼き」と「秋の果実 白地がけ」のレシピはコチラ

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