大阪『本湖月』うつわ十二カ月

【最終回】桃の節句は“雛”と“貝”で華やかに演出

2022.03.08
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連載:大阪『本湖月』うつわ十二カ月

今月は、桃の節句がテーマ。大阪『本湖月』では雛祭りをイメージし、一年の中で最も風雅な器でもてなします。また、水が温(ぬる)むと美味しさが増す貝を、磯遊びの趣(おもむき)で供するのも三月ならでは。春爛漫へと向かう三月の趣向、器への想いを、ご主人、穴見秀生さんに料理人として、数寄者として語っていただきました。

文:西村晶子 / 撮影:竹中稔彦

先付——表も裏も味わい深い、蛤一対を模した器で

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三月といえば五節句の一つである上巳の節句、和名では桃の節句といいます。今の時代では、雛祭りの印象が強いですね。
旧暦の三月は貝が旬を迎え、雛祭りの料理にもよく使われます。なかでも二枚貝の殻は同じ貝でなければピタリと合わないことから夫婦和合の象徴とされ、縁起物にもなっています。料理にはハマグリをはじめ色々な貝を使いますが、先付ではまず器で楽しんでいただきます。

この器は「貝合わせ」と言って、一対の二枚貝の形を模しています。永楽 十四代得全の作品で、仁清の写し。貝の内側に枝垂れ桜と柳が描かれています。柳が芽吹く四月も使える器ですが、一対の貝の形ですから、やはり桃の節句の三月がよろしいかと。雅な桜と芽生えたばかりの柳の生命力。それだけで十分春を感じていただけますが、実は裏にも“景色”があるんです。全体に霞を描き、脚の部分はシジミの形。器全体で春の息づかいが感じられる、なんとも洒落た器です。

料理は、女性の指にも例えられる白魚の酒煎り。華奢で繊細な姿がこの器にすっきりと似合います。

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