和食のいろは

【レシピ付き】『味菜』の割烹料理 冬(1~2月)の野菜編

大阪・北新地の割烹『味菜(あじさい)』の店主・坂本 晋さんから和食の基本調理を学ぶ本連載。冬が旬の野菜がテーマの今回は、霜が下りて柔らかくなった大根と真菜(マナ)、クワイの料理について教えていただきます。クリームあんに仕立てたり、豚肉との炒め煮、3種のスパイスのチップスなど、オリジナリティーが光り、食欲をそそるものばかり。和食暦50余年の坂本さんの老練な技にもご注目ください。



坂本 晋(さかもと すすむ):岐阜県高山市出身。18歳から下呂温泉『吉泉館』で修業し、大阪・北新地の料亭『神田川』へ。割烹『味菜』を開店し、40年が経つ。淀川や大阪湾の地魚に注力しながらも、全国各地から産地直送で旬の食材を取り寄せ、割烹料理に仕立てる。

文:阪口 香 / 撮影:東谷幸一

油のコクが真菜らしさを引き出す「真菜の炒め煮のとろろがけ」

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食材編でもお伝えしたように、真菜は油を使った調理に向きます。色鮮やかに仕上がりますし、ほろ苦さや独特の持ち味がアップしますから。

そこで、炒め煮。豚肉と共に炒め、調味汁を加えて馴染ませます。お浸しよりちょっと濃いくらいの塩梅にするといいですね。最後にとろろをのせるので、混ぜると煮汁を抱き込んで味わい深く。真菜のクタッとした食感と相まって美味しいですよ。

鍋で豚肉を炒める際、日本酒を加えて豚肉の臭みを飛ばすことがポイントです。あくまで真菜が主役で、豚肉が勝ってしまわないよう量も控えめに。また、真菜は茹でてから炒めますが、霜が下りたこの時季の真菜はとても柔らかいので、茹で時間はあくまでもサッと。比較的硬い根元は、切り込みを入れて炒めると火が通りやすく、柔らかく仕上がります。

もし、作りたてを提供できない場合は、鍋ごと氷水で急冷して真菜の色止めをした方がいいですね。今回は豚肉を使いましたが、鶏肉なら冷めた時に脂が固まらないので、作り置きする場合は、鶏肉を使う方がいいでしょう。

【作り方】
① 真菜をさっと塩茹でする。流水にとって冷やし、水気を絞っておく。約4㎝幅に切り、根元は縦に切り込みを入れておく。
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② 鍋にサラダ油をひき、真菜より若干小さく切った豚バラを炒める。全体の色が変わったら日本酒を適量入れ、臭みを飛ばす。
③ ②に①の根元部分を入れ、軽く炒めたら残りの真菜を入れてさらに炒める。
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④ ③に八方だし(カツオ昆布だしに薄口醤油・塩を加えたもの)・塩水※・みりん・薄口醤油を適量加えて味を調え、馴染ませる。
⑤ ④を器に盛り、大和芋を摺り下ろしてのせる。

※塩水…水塩ともいう。粗塩に卵白を混ぜ、クリーム状になったら水を加え混ぜて弱火にかける。アクが浮くたびに取り除き、結晶になる直前まで、5時間程度煮詰める。『味菜』では、塩の代わりに使う。液体なので食材にまんべんなく馴染みやすく、まろやかな味わいに仕上がるのが利点。

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