大阪料理会

【レシピ付き】玉蜀黍づくしの冷菜——『旬菜 山﨑』山﨑浩史さん作

葛豆腐から添えの煎餅、とろりとかけたあんまで、すべてにトウモロコシ(玉蜀黍)を使った先付を考案したのは、吹田『旬菜 山﨑』の山﨑浩史さん。全体に甘く、単調になってしまわないようにと、焼く・蒸す・揚げるなど様々な調理法を取り入れ、食感や塩気を工夫した意欲作です。それぞれを小鉢に盛るのではなく、一つの器に盛り合わせる仕立てが大好評。「デザートにしても面白いのでは?」という意見も飛び出しました。

※大阪料理会 公式サイトhttps://osakaryourikai.com/

聞き書き:中本由美子 / 撮影:福本 旭

目次

山﨑浩史さん(大阪・吹田|『旬菜 山﨑』店主)

1969年、大阪生まれ。辻󠄀調理師専門学校を卒業後、大阪の老舗料亭『紬』『芝苑』などで修業。28歳で独立し、地元・吹田に『旬菜 山﨑 佐井寺店』を開店。2009年、竹谷店もオープンする。五節句などの日本古来の季節感を大切にしながら、見た目にも美しく品のいい会席料理を仕立てる。

トウモロコシを葛豆腐、すり流し、アイス、煎餅にして盛り合わせてみました

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これから盛夏に向けて、うちではトウモロコシをよく使いますので、いろんな仕立てを考えてみました。葛豆腐にすり流し、アイスと、いろいろやってみると、近年のトウモロコシはとても糖度が高いので、どれも甘く、似たような味になってしまって…。それぞれに風味の違いを持たせることが課題になりました。

葛豆腐は、醤油で香ばしく焼いたトウモロコシをベースにしています。底味に厚みが欲しかったので、むきゴマのペーストも合わせました。残った芯も焼いてだしをとって加えています。

すり流しは、蒸したトウモロコシをペーストにし、だしを加えず、1割の太白胡麻油と合わせて乳化させました。塩だけで味を決めています。

アイスは、色を変えようと思って、ホワイトコーンを使いました。同じくペーストにし、塩で甘みを引き出して、パコジェットにかけています。

食感に乏しい一品にならないようにと添えたのは、トウモロコシの煎餅です。米粉と合わせて揚げ、脂っこさを抑えるため、焼き台にのせて下火で炙り、油を落としています。塩気がほしかったので、少し強めに塩を振りました。

振り柚子で仕上げようと思ったのですが、これがまったく合わなくて(笑)。柚子胡椒を昆布だしでのばして加えたところ、全体の味が引き締まってホッとしました。お店でお出しするなら、ここにトウモロコシ焼酎を少しかけたいなと思っています。トウモロコシらしい豊かな風味が加わって全体のまとめ役になってくれると思います。

osa0028-3c「トウモロコシの食べ比べが楽しい」「新しく、洗練されたバランスの良い一品」という意見に山﨑さんは安堵した様子。「だしを省いたのが大正解。トウモロコシのピュアな風味が生き生きと感じられる。コレ、デザートにもなるで!」と畑 耕一郎会長が総括し、会員の多くが賛同していた。『薩州濱田屋』のトウモロコシ焼酎「野風(のふう)」(画像右)は、原料も麹もトウモロコシで仕込み、15年寝かせている。

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